Maxim Integratedは10月31日(米国時間)、同社のセキュア認証用ICブランド「DeepCover」の最新製品として、車載グレード(AEC-Q100グレード1)に対応した「DS28C40」を発表した。

同製品は、同社初のAEC-Q100グレード1に対応した認証用ICで、これを活用することで、OEMメーカーはカメラやレーダー、バッテリーなどの各種コンポーネントの安全性を担保し、不正な改造などによる将来的な事故のリスクなどを軽減することが可能になる。

  • DS28C40

    車載コンポーネントのセキュリティ例。車載バッテリーに純正(もしくはメーカーが認証したサードパーティ品)以外が使用され、それが元で発火事故などが起こるといった可能性はないとは言えず、自動車メーカーとしては、そうした事故を未然に防ぐ手立てとして、こうした認証ICを活用することが期待される

また、専用ICであるため、マイコンを活用した認証方式に比べ、マイコンの負荷を減らすことができるため、システム設計の簡素化が可能なほか、パブリック(公開)鍵/プライベート(秘密)鍵非対称ECDSA(ECC-P256楕円曲線暗号)および対称(SHA-256)セキュリティ機能から導かれる暗号ツールのコア一式が提供されるため、OEMは独自のデバイスレベルの新たなコード開発などの開発負担を減らすことができる。

  • DS28C40
  • DS28C40
  • 「DS28C40」の概要。小型かつ低消費電力という点もさることながら、その最大の特長はAEC-Q100 グレード1認証を取得した認証用ICであるという点にある

同社で長年、セキュリティ関連を担当してきたマイクロ、セキュリティおよびソフトウェア製品事業部マネージングディレクターのScott Jones(スコット・ジョーンズ)氏は、「自動車業界はユーザーが、自動車に搭載されている安心・安全機能を重視する傾向を受け、OEM(自動車)メーカーは、自分たちのブランドが安全を保証しているということを示す必要がでてきた。それは各種のADAS機能もそうだが、エレクトロニクス化が進み、電子的なリスクが向上する一方で、自動車全体でそれを実現している、ということを示すことも含まれる」と、自動車の安心・安全性を担保していくのにセキュアな環境を構築する必要性が高まっていることに言及。すでに過去にも、ハッキングが可能であり、それにより意図しない運転が起こる可能性があるとしてリコールが行われたこともあるが、同製品はそうしたニーズに開発負担をかけずに対応することを可能とするとしている。

  • DS28C40
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  • 車載セキュリティにおいて認証用ICを提供できるという点でMaximは面白い立ち位置に立った。これを活用することで、マイコンを活用したセキュアソリューションよりも安価かつ小型・低消費電力のセキュアコンポーネントを実現することができるようになるという

なお、同製品は3mm×4mmの10ピンTDFNパッケージで提供され-40℃~+125℃の動作範囲温度が保証されている。同社のWebサイトから入手が可能で、評価キット「DS28C40EVKIT#」も65ドルで提供されるという。