市場動向調査会社である台湾TrendForceのフラットパネルディスプレイ(FPD)市場調査部門であるWitsViewが、2019年のFPD向けドライバICの出荷数量はFPDパネルの出荷数そのものが減少したことで、前年比3.2%減のマイナス成長となるとの予測を公表した。

同社の年初予測では、2019年のディスプレイ出荷数量は前年比3%増程度と見ていたが、ディスプレイ産業の減産がその予想をはるかに超える勢いで進んだ結果、マイナス成長となるとの結論に至ったようだ。

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    FPDドライバICの用途別出荷数量と総出荷数量の前年比増減率(TV=テレビ、MNT=モニタ、NB=ノートブックパソコン) (出所:TrendForce)

TrendForceのアシスタント調査マネージャーであるJulian Lee(ジュリアン・リー)氏は、「中国で第10.5世代の液晶パネルの大量生産が開始されたことで、液晶パネルの供給過剰がピークに達したほか、米中貿易戦争がコンシューマ向け電子機器に対する需要の減少を引き起こしたことで、エレクトロニクス産業全体が不安定となり、問題を悪化させている。パネル価格がキャッシュコスト(現金支出原価)を下回ると、パネル生産が縮小され、これがドライバICの需要にも影響を与えることになる。その結果、2019年のFPD向けドライバIC市場は前年比3.2%減の約77億6,000万個になると予測している」とコメントしている。

2020年以降の成長率FPD向けドライバIC市場

2020年には、新規設備の投入に伴うFPDパネルの出荷増やパネルサイズの大型化や高解像度化といった流れがドライバICの出荷数も増加させることを期待させるが、一方でナローベゼル(狭額縁)の人気の高まり、大型ディスプレイへのGate-on-Array(GoA:ゲートドライバ機能のアレイ上への作り込み)の搭載、およびそれに対応するゲートICの採用減などのマイナス要因によって相殺されてしまうとTrendForceは見ている。

そうした中、新たにFPD向けドライバICの需要を喚起することが期待される分野としては車載パネルおよびウェアラブルデバイスの出荷増であるともTrendForceでは説明しており、こうした市場が成長することで、2020年の同ドライバICの数量は同1.3%増、2021年以降は同2%程度の微増が続くと予測している。