クリックテックは10月30日、都内で事業戦略説明会を開催した。説明会には米国から来日した米Qlik Technologies CMO(最高マーケティング責任者)のリック・ジャクソン氏が出席した。
クリックの第3世代のBIとは
冒頭、ジャクソン氏は「われわれはビジネス=データであると考えており、データから情報を深掘りすることができ、意思決定やビジネスプランの策定につなげることができる」との認識を示した。
昨今では、データの価値を高めるために積極的に企業は投資しており、ガートナーの調査ではAIやデータ、アナリティクスに対して投資を行うことはCIOにとって優先順位が高いほか、CDOを設ける動きが加速しているが、2020年までに成功する企業は50%と予測されている。
また、企業においてデータを価値あるものに変換することは簡単ではないため、同社ではビジョンと戦略を立案し、プラットフォームを改善するこで第3世代BIプラットフォームにアプローチすることにした。
BIツールの歴史においては、第1世代、第2世代があり、第1世代はERPの普及に伴いデータを社内共有する中で普及し、特徴は集中型で大規模システムにおいてデータウェアハウスを利用していたが、知識がないと使えないツールとなっており、一部のユーザーでの利用が主だったという。
また、第2世代の特徴はセルフサービスBIで、システム部門だけでなく、ビジネス部門の人でも容易に使えたが、現場志向だったためセキュリティやガバナンス面に課題を抱えていたほか、データがサイロ化し、分析の前にグラフ化をはじめとした可視化の段階にとどまってしまう傾向にあった。
ジャクソン氏は「そのような状況下において、われわれは『データの民主化』『拡張知能(Augmented Intelligence)』『あらゆる領域へのアナリティクスの組み込み』の3つの柱にもとづいた第3世代のBIを提唱する。それは、BIを開放し、多くのナレッジワーカーがBIのメリットを享受することだ。しかし、ビジネスユーザーやナレッジワーカーがデータを必要とする際に、適切なデータを適切なタイミングでアクセスすることが難しいという事実がある」と指摘する。
そこで、同社ではデータの民主化を進めるため、今年2月にデータ統合ツールを提供するAttunityの買収により、データインテグレーションの領域も拡充し、これに既存製品であるデータ管理ツール「Qlik Data Catalyst」と、アナリティクスプラットーフォーム「Qlik Sense」を統合することで、エンドツーエンドのソリューション提供を可能としている。
ジャクソン氏は「ローデータからアナリティクス、そして実際にアクションを起こしたり、意思決定をするためのインサイトを得たり、一気通貫でカバーできる」とアピールした。
Attuniyのデータ統合ツールにより、ハイパフォーマンスアプローチと呼ぶ手法を採用し、チェンジデータキャプチャという形でパフォーマンスやスケーラビリティ、リソースに影響を与えることなく、データの変更を可能としているという。
また、AzureやAWSなどのデータを連携するクラウドデータウェアハウスにも対応しており、同氏は「次の重要なステップとしては、ビジネスユーザーがセルフサービスの形態でデータの特定やアクセスできるようにすることだ」と、強調する。
さらに、Qlik Data CatalystにはECサイトの商品ページのインタフェースを持つEnterprise Data Catalogの機能により、データ分析者はシングルビューから欲しいデータを検索し、Qlik Senceに接続することで迅速に分析を開始することができるという。であり、高度なAIのケイパビリティが搭載されている」と説明する。
ジャクソン氏は「アナリティクスプラットフォームは検索性や自然言語処理、自動化されたインサイトなどが組み込まれているべきだ」と述べており、同社ではQlik Senceを拡張し、自然言語を活用した対話型分析ツール「Qlik Insight Bot」をSlackやMicrosoft Teamsなど他の環境との連携を可能としている。
日本法人のカントリーマネージャーに今井氏が就任
続いて、クリックテック・ジャパン カントリーマネージャーの今井浩氏が登壇。同氏は1992年に日本IBMに入社し、その後はSAPジャパン、日本マイクロソフト、EMCジャパンを経て、1カ月前にカントリーマネージャーに就任した。
同氏は「これまでインフラテクノロジーの製品ソリューション群やセキュリティソリューション群、オンプレミス、ハイブリッドクラウド、クラウドをはじめ幅広い領域を経験した。今回、就任した経緯としては常に更新されるデータからインサイトを生成する連想インデクシング技術など圧倒的にユニークな技術を有し、パートナーやユーザー、日本法人の従業員も含めた“人”というところに惹かれて入社を決めた」と述べていた。
そして「われわれは、これまでのBIやデータアナリティクスの領域に対して引き続き投資していくが、広義な意味でのデータインテグレーション、データガバナンスの領域におけるポートフォリオを拡充している。新しく進化したクリックテックの日本法人の責任者として、従来からのメンバーと伝えていければと考えている」と意気込みを語っていた。