OKIグループのOKIエンジニアリング(OEG)は10月29日、自動車のエレクトロニクスの進展で増加する車載電子機器・装置の信頼性試験サービス拠点として埼玉県本庄市に構える「カーエレクトロニクス テストラボ(本庄ラボ)」に続き、新たに群馬県伊勢崎市に「群馬カーエレクトロニクス テストラボ(群馬試験センター)」を開設し、2019年11月1日より稼働を開始することを明らかにした。
自動車は燃費向上やADAS、自動運転、コネクテッドなどさまざまな背景から電動化(エレクトロニクス化)が加速度的に進展しており、そうして搭載される電子機器に必要となる試験や規格も多様化が進んでいる。その結果、そうした電子機器のテストを実施するための設備投資や実施コストなども増加の一途をたどっており、OEM(自動車)メーカーやティア1などの新規開発の負担が増す一因となっている。
OEGは、こうした背景を踏まえ、2017年に埼玉県本庄市に本庄ラボを開設。ティア1やOEM、商社などから依頼を受けて、電子機器に対する各種サービスの提供を行ってきた。しかし、エレクトロニクス化の進展速度は増すことはあっても緩むことがなく、本庄ラボも設備投資などを行い、そうした需要の増加に対応を図ってきたが、その稼働率が下がることはなく、手狭になった本庄ラボで新たな投資は難しいということから、今回、新たにOKI電線 群馬工場の敷地の一角を借り受け、群馬試験センターを開設することを決定したという。
群馬試験センターの目指すところは「スマートテストラボ」で、基本的には1回のテストで数日から数週間ほど必要とする長期的試験を実施する試験設備を導入。それらの稼働状況を遠隔地で把握し、人的負担を限りなく減らそう、というものとなっている。ただし、稼働当初はまだそこまでの体制が整っていないとのことで、2台の監視カメラにより10台ほどの試験設備に取り付けられたアンドンの信号の変化を監視、試験センター内に設置された事務所に詰めている人員(2名)が、発せられたエラーに対応を図る体制でスタート。2019年度下期に6台ほど、試験設備を追加導入するのと併せて監視カメラの台数も増強(最大8台まで可能)させ、2020年度中には合計30台ほどの試験設備の体制となり、それに合わせてアンドンの信号データをIoT化して、東京本社ならびに本庄ラボからの遠隔監視する体制を構築する計画だとしている(群馬試験センターの人員も将来的には3名体制に増員する予定)。
具体的に、稼働時に導入されている試験設備は「冷熱衝撃試験装置」、「液槽冷熱衝撃装置」、「ハイパワー恒温恒湿槽」、「車載カメラの洗車ブラシ試験」などで、数十日をかけて試験を行うものなどがほとんどであるため、異常が発生した際に対応する最低限の人員のみ配置し、どこからでも監視ができる体制を構築する、ということがこのスマートテストラボのコンセプトの1つであるという。
OEG 代表取締役社長執行役員の橋本雅明氏によると、現状、自動車分野の需要拡大に併せてサービスの強化を図っていくことで、当該事業の年率15%の成長を目指すとしており、そのために直近3年間で15億円の投資を進めているとする。そのため、すべての試験設備の導入が完了する2020年度の後、2021年度にはさらなる増床をはかり、2022年度には本庄ラボと同程度の規模まで売り上げを拡大する計画とするほか、将来的には名古屋市近隣にも同様のテストセンターを開設したいとしており、今後、さらに増すであろう自動車の電動化ニーズへの強化を図っていくとしている。さらに、群馬試験センターはOKI電線の群馬工場内に設置されているという立地的なメリットを生かし、OKI電線の手がけるワイヤハーネスやケーブル製品関連のエンジニアなどと技術交流を図り、OKI電線の製品力強化などもグループ全体として進めていければとしている。