オプティムは10月24日、都内で「Optim Innovation 2019」を開催した。本稿では同社 代表取締役社長 菅谷俊二氏の基調講演をレポートする。
第4次産業革命は、すべての産業を一変させる
これまで同社では、農業や小松製作所との協業をはじめとした建設、佐賀大学と共同で眼底画像の診断支援システムの開発など、AIを活用した事業を展開してきた。
菅谷氏は「第4次産業革命は、すべての産業を一変させる。われわれは産業は知らないが、AIやIoTに対する知見はある。どのように第4次産業革命と関わりを持てばよいのかと考えた際、各産業におけるトップ企業のノウハウと、われわれが持つAI、IoTなどのノウハウを融合し、各産業の革新を支援することに取り組んできた」と胸を張る。
そして、同氏は「AI、IoT、ロボットだけでなく、クラウド、サブスクリプション、シェアリング、セキュリティの7領域に対して、集中的な投資を重ねてきた。特に、AIに関しては第3次ブームを迎え、大きく進捗した理由としてはディープラーニングが挙げられる。これにより、クラウドをはじめとした計算能力が向上し、一気にブレークスルーを果たしている。ディープラーニングが最も成果を挙げている領域としては、画像解析、音声認識、文章解析、未来予測の4つだ」と強調した。
エッジを押さえた企業が未来のGAFA
菅谷氏は、同社が幅広い産業領域に対してAIの活用に取り組み、国内で最も多くのAIの案件を手掛けていることを自負しているという。現在ではPoC(概念実証)の段階を抜け出して実用化のフェーズに到達し、3年後にはAIが町中に溢れ返っているだろうとも語る。
また、これから重要なことは、AIで可能なこととできないことを理解した上でAIを活用し、これまでになかったビジネスモデルを構築することが重要になるという。では、同社が新しいビジネスモデルを構築する際に、なにをヒントとしたのか。その点について、菅谷氏は次のように説明した。
「AIにつながらないIoTには意味がないことに加え、近赤外線や紫外線などを特殊なカメラで撮影し、ダイレクトにAIで解析することで機械の故障や病気の予測といった人間では不可能な領域に対して、拡張性という観点で凌駕しており、知覚し得ない新しい世界を提示している。また、耐久性という意味でもAIとIoTは24時間365日解析を続けるため、現実世界を人間より理解しはじめている」(菅谷氏)
これはAIとIoTの浸透により、本当の意味でデジタル化され、デジタルが理解できる状態を意味している。つまり、これまで画像や音声はデジタルとして存在していたが、それを意味として理解できていなかったものの、AIを組み合わせることでデジタルの意味を理解するというものだ。
同氏は「GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)が持っている情報は人間が入力した情報を扱っているが、これからはAIとIoTで取得したデータを解析する主導権の奪い合いが間違いなく起きる。結果として、エッジを押さえた企業が未来のGAFAになる」との認識を示す。
今後、同社では勝負する領域を“シークレットビッグデータ”と決めており、これはWeb上にはない情報を指すという。同社の事業で言えば、農地のデータや医療データが該当し、シークレットデータを持つ企業と多く協業している。このデータをいち早くAI化することで、産業領域をリードしていく企業を目指すという。