hapi-robo st(ハピロボ)は10月17日、temiが開発・販売を行っているパーソナルロボット「temi - The Personal Robot」の国内総代理店として、11月1日より正式に国内の一般家庭や企業などに向けて販売を開始することを発表した。標準小売価格は29万8000円(税別)としている。
temiは、無線ネットワークを介することで、遠隔地に居ても自らがあたかもそこにいるようにコミュニケーションすることを可能とするAIアシスタンス機能を搭載した自律走行型パーソナルロボット。LiDARによって周辺情報を取得することで自動で地図情報を作成し、その情報に基づいて、自律走行で目的地まで移動することが可能となっているほか、音声認識機能を活用し、地図情報に、その場所がどういったポイントなのか(玄関、リビング)を教えてあげると、地名データとして保存され、音声指示によって、当該のポイントまで移動したり、リンクしたスマートフォン(スマホ)上に表示される行き先として選択するだけで、自動的にその場まで移動することが可能なため、遠隔地からtemiを介して操縦することなく、さまざまな部屋を訪問するといったこともできる。
ハードウェアとしては、LiDARのほか、深度カメラ(×2)、RGBカメラ(×2)、近接センサ(×5)、IMU、ToFリニアセンサ(×5)といったセンサ類に加え、ArmベースのヘキサコアCPU上でLinuxを動作させ、各種の移動制御を行っており、temiではこのナビゲーション技術を「ROBOX」と呼んでいる。また、それとは別に、ユーザーインタフェース(10.1型ディスプレイ)部分にはArmのクアッドコアCPUを採用したAndroidベースのシステムを採用しており、APIと連携させることで、teiが提供するSDKで作ったアプリケーションを動作させることや、Alexaとの連携も可能となっている。
外形寸法は35cm×45cm×100cmで重量は12kg、ディスプレイの後部にワイヤレス充電機能(Qi)付きの30cm×25cmのトレイ(耐荷重3kg)も装備。移動速度は1m/sで、1cm程度の段差であれば超えて移動することができるという。
すでに米国をはじめに、中国、香港、シンガポール、インドネシア、タイ、オーストラリアでtemiは販売済みで、今回の日本に続き、インドでも販売を開始する予定。すでに1000台以上の販売実績があるとのことで、temiのCo-founder & CEO of temi WorldwideのGal Goren氏はこれから参入することとなる日本市場について、「日本という地域は、ロボット分野のリーディング企業が多い土地でもあり、重要な意味を持つ。日本の市場に受け入れてもらえれば、世界でも通用すると思っており、今後のtemiの成長を牽引していく地域になると思っている」と期待を述べたほか、近い将来、日本にも開発センターを開設して、日本の技術をtemiのアプリケーション開発に活用していく計画であることを明らかにした。
temiの提供は基本的にハピロボから行われる予定だが、すでに同社はイノベーター/アーリーアダプター向けの限定プログラムを実施し、そうしたパートナー各社からサポートや独自アプリ、メンテナンスサービス、サブスクリプションモデルでの提供なども予定されているという。パートナーは、「インテクレーション」「イノベーターズ」「開発」「サポート&サービス」の4つの分野に分かれており、2019年10月時点で以下の9社が参画している。
- NTTファシリティーズ(インテグレーション)
- 大塚商会(インテグレーション)
- 大和ハウス工業(インテグレーション)
- モノプラス(インテグレーション)
- 蔦屋家電エンタープライズ(イノベーターズ)
- パルコ(イノベーターズ)
- コトバデザイン(開発)
- テクムズ(開発)
- ミライト・エックス(サポート&サービス)
すでにパルコでは、2019年11月22日にグランドオープン予定の新生渋谷PARCOに出店が決定しているCAMPFIREと同社が共同で運営する「BOOSTER STUDIO by CAMPFIRE」にtemiを導入し、temiそのものの体験をしてもらうほか、CAMPFIREを通じて開発されたさまざまなプロトタイプの案内をtemiを通じて、開発者本人による接客を行ったりといったことを予定しているという。また、将来的には、渋谷パルコの各フロアにおける案内役としても活用を考えているという。ちなみに、temiは現在、地図データは1枚のみ保存している状態だが、将来的には複数の地図データを使い分けるようにしたいとのことで、商用ビルの移動についてはエレベータのシステムとIFTTTで連携することができるのであれば、スムーズに移動して、目的地まで案内するといったことも可能になるという。
また、大塚商会では、すでに350社の顧客と商談を開始していることを明らかにしており、働き方改革の動きも交え、BtoBでの活用を進めていくことを予定しているとする。
なお、ハピロボの代表取締役社長を務める富田直美氏は、「いろいろなところで活躍できる可能性を持ったロボット。顧客の声を聞きながら、課題を浮き彫りにして、家庭やビジネスの現場で使っていってもらえる存在になりたい」と、今後に向けた抱負を語っており、販売1年間で5000~2万台程度の販売を目指すとしている。