データ活用とは言え、なかなか物事がうまくいかないのは世の常である。しかし、データを分析することでビジネスに直結する魅力的なインサイトが時として引き出せることもある。今回、ヤフーが5月に開設したデータソリューションサービスの体験・共創拠点(ラボ)をデータ分析に関しては、ずぶの素人である筆者が体験してきたので、その模様をレポートする。
サービスとデータの種類の豊富さがヤフーの強み
現在、同社ではYahoo! Japan 検索や同ニュースをはじめとした「興味関心データ」、ヤフオクなどの「購買データ」、同天気・災害、同路線情報といった「生活データ」に加え、Yahoo! Japan IDによる登録情報、デバイス情報、位置情報を含めた「プロファイル系データ」を有する。
「サービスとともにデータの種類が多いことが強みです」と話すのは、ヤフー データ統括本部 事業開発本部 本部長の谷口博基氏だ。
これらのデータを活用するために同社が昨年に打ち出したものが「DATA FOREST構想」だ。これは、データから得られるさまざまなインサイトを同社だけでなく、企業、自治体に加え、企業間や自治体間など参画するプレイヤーがデータを相互利活用することで、それぞれが成長し、多くのデータが集まるエコシステムを目指すというものだ。
また、同社からすれば、これまではマーケティングが主力事業となっていたが、同構想が実現すれば企画・開発から生産、物流、マーケティングまでの支援が可能になるという。今年2月には、これまでのeコマース、FinTech、総合マーケティングに次ぐ4つ目の事業の柱としていく方針を示している。
谷口氏は、データの活用に関して「消費者の興味関心の把握による効率的な商品開発や、未来予測による生産・物流の最適化などが図れると考え、スタートしました。2月の発表以降、問い合わせ企業自治体数は200を超え、実証実験のパートナー数は60社に達しています。そして5月にはラボを開設し、10月末にはサービスの提供を開始します」と話す。
ラボの設立について、ヤフー データ統括本部 データソリューション事業準備室の宮本瞳氏は「相手方のデータを使いつつ、ヤフーのデータも利用してもらい、相互利活用できる状態にしたいと考えています。そのため、まずはヤフーのデータを活用してもらうことに加え、われわれではサービスリリース以降にユーザーの使い方がどのようなものかを把握するためにノウハウを蓄積するためです」と説明した。
ラボの利用法はWebサイトから申し込み、審査通過者に権限が付与され、事前予約で1回2時間となり、申し込みは10月18日、利用期間は同29日、11月以降も継続して運用を予定(詳細はサービスリリース時に発表)している。
企業が得られるメリットとしては、10月末開始のサービスと同等のものが無料で利用でき、分析結果は電子データで持ち帰り可能、同社社員が操作方法や分析の道筋を解説するサポートも含まれている。そして、一番の肝は同社が持つ膨大なデータを利用し、インサイトを得られるということだ。