2010年から2018年まで、ながきにわたって過去最高の年間売上高記録を更新し続けてきたマイクロプロセッサ(MPU)市場が、ついに2019年、スマートフォン出荷額の減少、データセンタ向けコンピュータの過剰在庫、米中貿易戦争など影響から、前年比4%減の773億ドルにとどまるだろうとの予測をIC Insightsが発表した。ただし、2020年には同2.7%増の793億ドルとわずかながら回復し、2021年には再び過去最高の約823億ドルに達すると同社は予測している。

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    図1 マイクロプロセッサ(MPU)市場規模の推移(単位:10億ドル)。2019年には規模がやや縮小するもののその後は徐々に回復し2021年には過去最高を記録する見込みである (出所:IC Insights)

2023年まで年平均成長率2.7%で推移

IC Insightsは、2019年初頭の予測で、2019年のマイクロプロセッサ市場について、前年比3.9%増、2020年に同0.1%減としていたが、実際の市場の動きとしては、マイナス成長が1年前倒しとなり、かつその幅も大きくなりそうだという。同社は現在、マイクロプロセッサ市場について2018年から2023年にかけて平均年間成長率(CAGR)2.7%で成長を続け、2023年には917億ドルに達すると予測している。また出荷数量は、同様の期間のCAGRが1%となっており、2023年に24億個に達すると予測している。

2019年のマイクロプロセッサ市場の約52%となる398億ドルがPCやシンクライアント、サーバ、メインフレーム、スーパーコンピュータなどに向けたCPUで、それらのほとんどがIntelもしくはAMDのx86ベースのアーキテクチャに基づいたものとなっており、ArmベースのマイクロプロセッサをはじめとしたRISCアーキテクチャ製品は総売上高の1%ほどに留まる見通しだという。また、約17%となる129億ドルが組み込みMPUで、IoTへの接続する機器の増加やシステムの自動化、AI(人工知能)の活用機会の増加、自動車、産業用機器、コンシューマ製品などにおけるセンサの普及によって今後も成長が期待できるという。

なお、アプリケーション別でみると、全体の約29%(222憶ドル)が携帯電話のアプリケーションプロセッサで、3%(25億ドル)がタブレット向けだという。