昨今、あまねく企業においてデジタライゼーション(デジタル化)やデジタルトランスフォーメーションが認知されつつあり、成功している企業も少なくない。しかし、中小企業においては波に乗りきれていない企業が数多く存在しているのも確かだ。本稿では「サイボウズ Office」を採用したグローバルカンパニーの事例を紹介する。
口コミでの導入が多い「サイボウズ Office」
グローバルカンパニーは神戸市に本社を置き、建設機械の中古売買を手掛け、国内外で中古製品を輸出入し、2014年からサイボウズ Officeを導入している。
サイボウズ Officeは、企業・組織内の情報共有やコミュニケーションを支援する国産グループウェアで、スケジュール共有や会議室などの施設予約、掲示板、ファイル共有、ワークフローなどの機能を備え、1997年の提供開始以来、累計導入社数は6万社(2018年時点)に達している。
クラウド版とパッケージ版を用意し、売上比率は2(クラウド版):1(パッケージ版)、新規出荷本数は10(同):1(同)と、近年ではクラウド版の導入が顕著となっている。導入企業も幅広く、製造業や小売り、交通系、医療介護系、農業系、B.LEAGUEのチームなど多岐にわたる。クラウド版はスタンダードコースとプレミアムコースを揃えている。
「導入企業のうち、約48%がサイボウズ Officeが最初に使うグループウェアと回答しています。また、前職で利用していた担当者が転職先で導入した、知人からのおすすめで導入したという回答が約51%に達します」と、話すのはサイボウズ Officeプロモーションディレクターの渡邉華子氏。
企業において、サイボウズ Officeの導入に至る経緯として特異な点は口コミでの広がりだ。渡邉氏は「認知経路としては広告などもありますが、口コミで伝わり、購入したということがポイントです」と続ける。
特徴的な機能として、プレミアムコースで利用可能な業務に合わせたアプリを作成できるWebデータベースの機能である「カスタムアプリ」だ。
Excelで行うような業務管理を可能とし、プログラミングが必要なく、例えば商談進捗のアプリであれば顧客名、商談内容などの項目の付け替えがプログラマーがいなくても自身で簡単にでき、現場の人たちが自分たちで使いやすいアプリを作ることができるというものだ。
また、集計機能も備えているため、サイボウズ Office上でグラフを作成し、トップページに貼り付けて共有することなどもできる。自分で一から作成することも可能だが、日報や商談進捗管理、売上管理、クレーム管理などサンプルのアプリも100種類以上揃え、サンプル自体もカスタマイズできるため、業務に合ったアプリの作成を可能としている。
情シスゼロの状況、Excelでの業務に限界を感じ......
なにを隠そうグローバルカンパニーにおいても導入に至った背景は口コミだ。渡邉氏は「業種が特殊だからこそ導入した、という経緯もあります」と述べており、同社が導入に際して求めていたポイントは以下の3つだ。
中古建機の買い付けはスピード重視で1点物が多いため製品の状態管理が不可欠
買い付けは現場にいち早く到着した上で購入の意思決定が重要となるため競争が激しい
グローバルでの利用
当初、同社では社長と事務スタッフの3人でExcelにより業務管理していたが、増員に伴いスケージュール管理が必要になり、Excelでの業務に限界を感じていた。情報システム担当者もいないため、製造業用のパッケージソフトで販売されている在庫管理ソフトの購入などを検討したという。
しかし、パッケージソフトでは単一の業務のみをカバーしているものが大半を占め、カスタムするためには数十万円のコストがかかることもあることから、社外の会計監査担当者に業務にフィットするソフトウェアについて助言を仰いだところ、サイボウズ Officeを紹介されたため、サイボウズ Officeを導入し、現在はプレミアムコースを利用している。
選定理由としては「国内外で従業員同士のやり取りが可能なクラウドであること」「カスタムアプリの利便性など、自社の特殊な業務とサイボウズ Officeの相性が良かったこと」「新入荷した製品の情報を把握して営業担当者が迅速に行動を移すことを可能にするメール通知機能があること」の3点を挙げており、同社が求めていたポイントとマッチした形だ。
従来はExcelでスケジュール管理を行っていたが、サイボウズ Officeにより情報が可視化されているほか、自社の業種に即した形でカスタマイズを可能なため、カスタムアプリを有効に活用しているという。
サイボウズ Office プロダクトマネージャーの河合真知子氏は「グローバルカンパニーさんは情報システム担当者がいません。しかし、サイボウズ Officeを利用していくうちに使い方を理解し、業務で困っていることと紐づけて解決しています。これは社外の会計監査の方がカスタムアプリを好んで利用しているため、グローバルカンパニーさんに広めてくれた感じです。この広まり方は一番うれしいことですね」と笑顔を交えながら話していた。
導入で得られた効果とは
グローバルカンパニーで最も使われているカスタムアプリは在庫管理となり、建機の詳細や仕入れ価格、販売価格を商材ごとに登録し、集計機能があるため入力さえすれば個別の売り上げや全社的な売り上げの把握を可能としている。
さらに、計算式を組み込んでいるため計算ミスがないほか、蓄積したデータはCSVで書き出すことができ、複雑な計算をする場合はExcelシートに貼り付けて、月間の成績表や個人の成績表をすぐに出せるようになっており、会議などで活用している。従来、成績表や売上表は各個人の裁量に任していたが、ミスが起きることもあるため、その場合はカスタムアプリとExcelを組み合わせて解決しているという。
また、営業だけでなく、ほかの部署でも閲覧が可能なため社長の場合は購入の決済など、事務は入金の管理や自動計算で為替レートを常に計算し、財務のチェックも行っている。加えて、新入社員に対して集計の方法・手順を教えることに時間を要していたが、増員前に導入したことで容易に引き継ぎなども可能としている。
河合氏は「海外出張中の従業員は、建機の在庫情報をカスタムアプリに買い付けの情報と買い付けが完了した情報が閲覧でき、アプリを見れば在庫が把握可能なため、顧客に何が売れるのか、ということがリアルタイムで判断できます」と、カスタムアプリの利便性について説明する。
サイボウズ Officeの導入により、グローバルカンパニーでは「営業活動の効率化・業務スピードの向上」「経営に関する数字がリアルタイムで把握が可能」「スムーズな海外展開」の3つの効果が生み出せたという。今後はアドレス帳や日報などの電子化を検討していく方針だ。