ピュア・ストレージ・ジャパンは10月8日、米国オースティンで9月17日~18日の期間で年次カンファレンス「Pure//Accelerate 2019」を開催したが、日本法人があらためて説明会を開催した。その中で、紹介しきれていなかったソリューションに加え、日本国内のビジネス概況をレポートする。
EC2をリブランディングしたPure as a Service
すでに「Flash Array//C」や各種クラウドサービスに関しては、こちらを参照いただくとして、Pure as a ServiceとAIに適したインフラストラクチャ「AIRI」のサービスについて紹介する。
Pure as a Serviceは、クラウドベースの従業課金制でストレージを利用できるEvergreen Storage Service(ES2)をリブランディングしたものとなり、同社製品をユーザーにレンタルし、月額の従量課金として同社のすべての製品で提供するというものだ。
米Pure Storage 戦略部門副社長のマット・キックスモーラー氏は「すべての製品に拡張したため“Pure as a Serveice”が相応しいと考えた。IDCの調査によると、クラウド化が進展するほど、ユーザーの消費形態はas a serviceに志向が傾いている。ユーザーニーズの変化に対して月額の従量課金としており、消費を柔軟に増減できる」と述べた。
また、同社のクラウドサービスにも適用されることから、例えばFlash Arrayの購入に伴い同サービスの加入契約をした場合、将来的にクラウド移行する際は同サービスも加入当時の契約条件で移行を可能としている。そのため、現在はオンプレミスの環境でも将来的にクラウド移行するにあたり、柔軟性を担保するという。
AIRIを補完するサービス
AIRIは、NVIDIAの深層学習向けサーバのDGX-1とピュア・ストレージのFlashBladeを組み合わせた製品。
同製品を補完するものとして、まず挙げられるのがAIやビッグデータの解析、クラウドのオブジェクトデータなど非構造化ワークロード向けのブレード型製品である「FlashBlade」だ。今回、ブレードを最大150までスケールアウトでき、8PBの容量に対応することを可能とした。
また、NVIDIAと共同開発したAIデータハブは法人顧客がAIを短時間かつ大規模に設計、開発、展開するために必要な企業を提供するAIパイプラインソリューション。データのクレンジングからタグ付け、モデリング、学習、本までAIパイプライン全体を効率化し、PoC(実証実験)から本番導入にスケーリングする際のミスを解消するという。
設計(RAPIDSおよびPure Toolsを使用して迅速にデータ設計・調査が可能とする「設計」、AI対応のAIRIとFlashStackによる学習とモデル開発の迅速化ができる「開発」、NVIDIA T4によるモデル開発と推論の迅速化が可能な「展開」の3段階で構成している。
キックスモーラー氏は「ユーザーから多くのデータを扱いたいというニーズがあった。AIモデルの学習に使える前にデータを取り込み、処理を行うタスクが数多く存在する。パイプラインの自動化はコンテナ化されていることから、kubenetesで自動化を試みようとする。そのため、kubernetesとともにデータパイプライン全体を自動化するAIデータハブを発表した」と説く。
グローバルで500億ドル以上の市場機会における日本の事業展開
続いて、ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏が日本のビジネス状況について説明した。
田中氏はグローバルにおける同社を取り巻く状況として「500億ドル以上の市場機会があり、市場シェアを着実に拡大してきた。また、クラウドに対応し、サブスクリプションを軸としたビジネスモデルが拡大したことに加え、財務状況も健全に保っている」と述べた。
一方、日本市場はIDCの調査結果を引き合いに出し、ハイブリッドフラッシュアレイ(HFA)やハードディスクアレイ(HDD)と比較して、オールフラッシュアレイ(AFA)分野は成長度が高く、2019年上半期のAFA分野は50%、HFAは23.6%の成長に対し、HDDは17%の減少となっている。
そのような状況下において、日本法人の2019年第2四半期は176%の成長を達成しており、特にエンタープライズ、サービスプロバイダー、地方自治体の分野などを中心に顧客が拡大しているという。
同氏は「500億ドルの市場のうち、クラウドストレージとストレージソフトウェアの市場に注力していく。また、AIやIoTなどデジタル・トランスフォーメーション、2025年の崖として部門別のサイロ化したシステムや複雑化/ブラックボックス化、組織横断的なデータ活用に課題を抱える企業を支援していく」と胸を張っていた。