東芝は、鉄道会社向けにダイヤ作成の際に大規模かつ過密な鉄道ダイヤのすべての列車の遅延確率を高速かつ正確に算出する「列車遅延リスク評価アルゴリズム」を開発したことを発表した。

鉄道のダイヤ遅延は、当該車両のみならず、後続の列車へもその影響が波及する2次遅延が生じることが多々あることから、従来から遅延シナリオを想定して、何度もシミュレーションを繰り返して2次遅延評価を行う技術が用いられていた。しかし、稀にしか発生しない大きな2次遅延を正確に評価するためには、例えば0.01%の確率で発生する事象の再現には、少なくとも数万回のモンテカルロシミュレーションが必要となるなど、鉄道会社の時間および費用の負担が課題となっていた。

今回開発されたアルゴリズムは、実際の運行パターンやダイヤの発着時刻の情報を元に確率伝搬モデルを作成し、実際の運行実績を学習させることで2次遅延確率の計算精度を向上させることを可能にしたほか、2次遅延確率の値を、確率伝搬モデルに基づく数式から導出するため、モンテカルロシミュレーションで必要とされる膨大なシミュレーションを行わずに2次遅延確率を計算することができるため、従来よりも高速かつ正確に列車の遅延確率を算出することが可能になったという。

すでに同技術は、2019年9月付けで東芝デジタル&コンサルティングが英国で進めているコンサルティング事業に採用されたとのことで、東芝では今後も引き続き技術を発展させていくことで、運行計画作成のさらなるデジタル化を目指していくとしている。

  • 東芝

    新開発のアルゴリズムを活用すると、2次遅延分布の精度を上げることで、乗客の利便性や鉄道事業者のメリットを評価することができるようになる