Xilinxは10月1日(米国時間)、米国で開催した開発者向けフォーラム「XDF」において、ソフトウェアエンジニアやAIサイエンティストなど、新しい分野のさまざまな開発者がハードウェアの適応性を活用できるように支援する統合ソフトウェアプラットフォーム「Vitis(バイティス)」を発表した。
同プラットフォームを活用することで、ユーザーはハードウェアの専門知識がなくても、ソフトウェアやアルゴリズムコードに合わせて自動的にハードウェアのアーキテクチャが調整されるため、アルゴリズム開発にフォーカスすることができるようになると同社では説明している。
また、同社が従来より提供してきた開発ツール「Vivado」とは別の開発環境であり、ユーザーは普段使用しているツールにプラグインとしてVitisを追加するだけで、最適化図身のオープンソースライブラリにアクセスできるようになるとするほか、Vivadoを使用してきたようなハードウェア開発者にも、ハードウェアモジュールをソフトウェアで呼び出し可能なファンクションとしてパッケージ化することで、開発の生産性を高めることができるというメリットを提供するものだという。
オープンソースの標準開発システムやビルド環境にシームレスにプラグインできるスタックベースのアーキテクチャで構築されており、最下層のレイヤ「Vitis target platform」はボードとプログラム済みのI/Oで構成されるほか、2層目の「Vitis core development kit」は、サブシステムやVersal ACAPのAIエンジンのほか、必要に応じて外部ホストなど異なるドメイン間のデータ移動を管理するオープンソースのランタイムライブラリで構成される。また、コンパイラ、アナライザ、デバッガなどのコア開発ツールもここに含まれるという。そして上位層となる3層目「Vitis accelerated libraries」は、「Vitis BLAS(Basic Linear Algebra Subprograms)」、「Vitisソルバーライブラリ」、「Vitisセキュリティライブラリ」、「Vitisビジョンライブラリ」、「Vitisデータ圧縮ライブラリ」、「Vitis数理ファイナンスライブラリ」、「Vitisデータベースライブラリ」、「Vitis AIライブラリ」という8つのライブラリに400以上の最適化済みオープンソースアプリケーションが用意されており、ソフトウェア開発者は、標準API経由で、これらのプログラム済みアクセラレーション関数を呼び出して利用することで開発容易性を確保することができるようになる。
そして4層目はドメイン特化アーキテクチャ(DSA)を含む「Vitis AI」で、ここではTensorFlowやCaffeなどのフレームワークを活用して、ハードウェアが最適化およびプログラムされるように構成することが可能。これにより、 デバイス上で実行されるトレーニング済みAIモデルを約1分で最適化、圧縮、コンパイルできるという。また、近い将来、「Vitisビデオ」と呼ぶDSAも提供する予定としており、これによりFFmpegから直接、ビデオのエンコードを実行することが可能になるという。このほか、パートナー企業もDSAを提供しており、ユーザーはそれらを活用して開発を行うことも可能だとしている。
なおXilinxでは、ユーザー支援を目的に開発者向けコミュニティサイトも立ち上げており、Vitisの専門家やエンジニアによる支援などを受けることなども可能だと同社では説明している。