全国農業協同組合連合会(JA全農)と東日本電信電話(NTT東日本)、NTTアグリテクノロジーは9月27日、JA全農が運営する次世代施設園芸「ゆめファーム全農」において、IoTを活用した農作業者の健康管理・労務管理を通じ、農業経営を支援する実証実験を開始することを発表した。実施期間は2019年10月〜2021年3月末。
この実証実験は、次世代施設園芸をフィールドとし、農業において課題となっている高温多湿の環境による年間を通じた熱中症発症リスクや、広大な面積における適切な労務管理の解決をめざすもの。
IoTを活用し、身体にかかる負荷を計測・可視化することで、管理者への注意喚起や適切なタイミングで休憩を促す等の措置を行うという。また、農作業者の作業箇所・作業時間等の可視化もあわせて行い、最適な労働環境や適正な労務管理を行う仕組みを提供するという。
具体的には、農産物を最適な環境で栽培するためファーム内に設置しているセンサーで取得する温度・湿度・日射量をも とに、熱ストレスの評価を行う WBGT値(暑さ指数)を算出。この値が基準値を超え、かつウェアラブルデバイスで取得した心拍数データから暑熱負担が増大していると判断した場合には管理者等に通知する。これに基づき、注意喚起や適切な声掛けによる体調の確認、休憩を促す等の行動につなげることで、 農作業者の健康を確保する仕組みだ。
また、ウェアラブルデバイスで取得する位置情報と、労務管理アプリケーションに記録した作業内容等の情報を相互に連動させ、農作業者の労働時間や生産性等を可視化する予定だという。タブレットとウェアラブルデバイスで管理することで、予定されている作業の進捗等を正確に把握するほか、集計作業の簡略化を実現するとしている。
今後は、外国人技能実習生等との適切なコミュニケーションを目的に、健康管理・労務管理アプリケーションに多言語翻訳機能やメッセージ機能を搭載していく予定とのことだ。