宮崎大学とNTTデータは9月26日、2019年3月から8月に同大学附属病院において、同社が開発したAI画像診断支援ソリューションで腎臓のあらゆる異常の検出を行う実証実験を実施したと発表した。
同実証実験では、附属病院の患者700人のデータを対象に異常の検出精度の測定を行い、特に癌の検出に関して、高い検出精度を持つことを確認できたという。
同社のAI画像診断支援ソリューションは、患者の医療画像をAI技術で分析し、疾患の可能性がある箇所を画像上とテキストで示すことで医師の診断をサポートするという。
同ソリューションの特徴は、特定の疾病に加えて臓器の多様な異常を検出できること、またCTメーカーあるいは造影剤の有無といったCT撮影の条件に依存しないことという。
疾病を選ばず、かつCT撮影の条件も選ばないことから、健康診断を始めとする多様な場で、放射線科医の負担削減を期待できるとしている。
同社はアメリカを始めとする複数の国の複数病院で画像データを収集し、同ソリューションの精度向上に用いているといい、同サービスのグローバル展開を目指しているとのことだ。
同実験ではまず、アメリカ人患者約5000人、およそ11万枚の腹部CTデータのみを使って学習した同社のAI(附属病院を含む日本人のデータは学習には利用しない)が、附属病院の患者にも同様に適用できるかを検証した。
この検証における診断精度は、腎臓の多様な異常(腎癌、腎臓結石、水腎症のような疾病から、嚢胞、腫瘍などまでを含む)に関して同等の結果になったという。
これにより、同社のAI画像診断支援ソリューションが、附属病院患者を含め人種や生活習慣の異なる複数の国の患者に適用できることを確認できたとしている。
また、附属病院のデータのうち腎癌患者データについて、検出精度を検証した。 患者の内訳は、腎癌患者250人、癌以外の疾病・異常が腎臓にある患者200人、健康な腎臓を持つ患者250人の計700人。
この検証では、腎臓における癌の診断精度は正解率89.00%、感度82.00%、特異度95.00%、適合率94.60%となり、高い診断性能を確認できたとしている。
これらの結果から、同社のAI画像診断支援ソリューションが、附属病院で診断ニーズの高い癌の実診断業務への適用が有効であることの示唆を得られたという。
両者は、同ソリューションの高い検出精度を確認できたことを踏まえ、実際の診断業務での医師の負担削減効果の検証を、2020年度中を目処に計画している。