産業機器やIoT向けにセキュリティツールを提供する独WIBU-SYSTEMS(ウイブシステムズ)は9月24日、都内で説明会を開き、今後、日本市場に注力していくことを明らかにした。
同社は1989年に設立。現在、独カールスルーエの本社に加え、米国ならびに中国に現地法人を有するほか、日本法人も2018年10月に立ち上げたという。それまで日本市場は1997年よりサンカーラが代理店を務めてきたが、昨今、日本のカスタマからの要求が高度化してきたこともあり、サポート力の強化などを図っていく必要性などがでてきたことから、現地法人の設立を決定したとする。また、それと平行して東芝情報システムとも2019年4月3日付けで代理店契約を締結したほか、現在、トーメンエレクトロニクスと豊通エレクトロニクスが合併して誕生したネクスティエレクトロニクスとも、代理店契約の締結に向けて交渉を進めているとしており、今後も引き続き、日本市場での存在感を増す取り組みを進めていく予定だとしている。
同社は日本市場は「インダストリアルオートメーション/ロボテックス」、「医療機器/ファーマシー」、「独立系ソフトウェアベンダー(ISV)」、「オートモーティブ/MaaS/メンテナンス」といった4つの市場に注力することを掲げており、中でもインダストリアルオートメーション市場が最優先市場で、次いでISVとしており、オートモーティブや医療機器に関しては、これから開拓していく市場との見方を示す。
高い柔軟性でセキュリティを提供する「CodeMeter」
同社が提供するセキュリティソリューションの軸となるのが「CodeMeter(コードメータ)」と呼ばれる製品群。面白いのは提供形態が、USBドングルといったものから、CFastやSD/microSDといったカードタイプのドングルのほか、ASIC、カスタムコントローラ、そしてソフトウェアなど、用途に応じたさまざまなものが提供されている点と、クラウドサービス、いわゆるサブスクリプションモデルの組み合わせなども可能という柔軟性を有しているということ。
ちなみに、ASICはInfineon Technologiesの「SLE 97 SOLID FLASHファミリー」を提供している。同社CEOのオリバー・ウィンジェンリート(Oliver Winzenried)氏に確認したところ、「確かにチップはInfineonのもの(同社提供のもののシルクもInfineonと記載されている)だが、ファームウェアなどは自社で開発したものを搭載して提供している」とするほか、「ベアダイ(ICパッケージに封止されていない状態)でInfineonから購入して、自社でコントローラなどを組み合わせてカスタマイズニーズに対応できる体制を整えている」ともしており、そうしたハードウェア、ソフトウェア双方の技術力の高さが自社の強みであることを強調する。
CodeMeterの主な機能としては、ソフトウェアの違法コピーやリバースエンジニアリングを防ぐ「IP保護」、柔軟な権限設定などが可能な「ライセンス管理」、そして悪意のある攻撃からユーザーを保護する「セキュリティ」の3点。すでに全世界で7000社以上の企業が同社のソリューションを活用しているとのことで、例えばDMG森精機がオペレーティングシステム「CELOS」にて、オプション提供の各機能に対するライセンス管理などに活用しているほか、Rockwell AutomationではPLCにドングルやセキュリティで保護されたファイルを格納する「ライセンスコンテナ」のライセンス要件に合致することを検証し、暗号化したソフトを復号化して実行する「CodeMeter Embedded」を統合するなど、さまざまなものづくり産業のニーズに対応する形での提供を行っている。
なお、同氏は「今までセキュリティとライセンスの管理のベストソリューションというと、PCの世界での話だったが、我々はそれを組込機器やマイコンなど幅広いプラットフォームに、提供することを可能とした。日本でのミッションもそれに違いはなく、顧客に最適なサービスの提供を行っていくことを目指す」と日本地域に向けた思いを語るほか、Industrie4.0およびSociety 5.0の実現に向け、企業のみならず、研究機関とも協力して技術開発を進めていくことも検討しているとのことで、コンサルティングなどの取り組みも含め、日本市場における顧客とのWin-WInの関係構築を目指していきたいとしていた。