米Intelは9月25日(太平洋時間)、同社のOptane Technologyやこれを利用したストレージ製品、および3D NAND SSDに関するロードマップを明らかにした。
Optaneの製造拠点をメキシコに設置
まず最初の発表は、Optane Technologyの製造拠点を米メキシコ州のRio Ranchoに設けた事だ(Photo01)。Rio Ranchoの拠点名はFab 11Xで、ここは元々300mmウェハを使った45/32nm世代の製品製造を行っていた。当初のスケジュールでは2020~2021年にかけてこれが22nm/14nmに転換される予定だったが、2019年1月に方針が変わり、Optane製品の製造拠点に切り替わる事になっていた。
この背景にあるのは、2019年1月14日にMicron Technologyが(IntelとMicronの合弁であった)IM Flash Technologiesの買収を決めた事だ。もともとOptaneだけでなく3D NAND Flashに関しても両社の間で食い違いは多く、それもあって2018年7月に共同開発を終了する旨の発表があり、これに伴いMicronがIM Flashを丸ごと買収した形である。
ただ従来同社のOptane Memory製品は、ユタ州LehiにあったIM FlashのFab 2で生産が行われており、これはまるごとMicronの傘下に入る事になった。買収後もMicronはOptane Memoryの製造委託を1年以上行う事は契約に盛り込まれているが、いつまでもMicronに委託する訳にも行かないし、製造委託という形態では次世代製品の開発も難しい。これもあってか、Fab 11XにOptane Memoryの製造体制を整えた形だ。この製造ラインがスタートした、というのが最初の発表であり、現在の第1世代Optane Memoryに続く第2世代の開発や製造は今後、Fab 11Xで行われる事になると思われる。
2020年に第2世代Optane Memoryを投入
発表の2つ目は、そのOptane Memory(と3D NAND Flash)の将来製品に関する事である。今回は、第4世代までの開発計画がすでに進められている事と、その第2世代に関しての説明が行われた(Photo02)。
現在は第1世代のOptane Memoryを利用して、Optane DC Persistent Memory(開発コード名Apache Pass)と、Optane DC SSD(同ColdStream)が出荷を行っているが、これに続き第2世代Optane Memoryを利用した「Barlow Pass(同)」と「Alder Stream(同)」がそれぞれ2020年に投入予定とされる。
この第2世代Optane Memoryでは何がどう変わったのか、について現時点では詳細が一切明らかにされていない。ただCold StreamとAlder Streamを比較した簡単なベンチマークは示された。まずPhoto03が現行の3D NAND SSDとOptane DC SSD(ColdStream)の比較で、IOPとLatencyをプロットしたものである。
Optane DC SSDは、Latencyがそもそも1桁少ない他、45万IOP超えあたりまでほぼフラットな特性を示すが、50万IOPあたりで限界に達する。対してAlder Streamは80万IOPを超えてもまだフラットなまま「になる予定」とされている。ただLatencyの絶対値は減っておらず、その意味ではOptane Memoryの構造そのものに手を入れたというよりは、集積の仕方を変えた、現在は2層構造のものを複数積み上げたとか、そんな形の進化に見える。 まだ具体的な話は一切出てきていないが、恐らくはCooper Lakeと同一タイミングでこのあたりの詳細に関するアナウンスがあると想像される。
2020年に144層構成の3D NANDを投入
3つ目が3D NAND Flashに関する話である。先のPhoto02にあるように、2020年のタイミングではCriffdale Refreshに加え、新たにArbordale+ベースの製品が3D NAND SSD向けに投入される。このArbordale+は、同社としては初の144層構成となる事が明らかにされた(Photo05)。
ちなみにこの話とは直接は関係ないのだが、Intelは現時点ではFloating Gateを唯一進めているベンダーであり、Samsung・東芝・MicronなどはすでにCharge Trapを採用している(MicronがCharge Trapに鞍替えしたのが、両社が共同開発を中止した理由を目されている。MicronがFloating Gateに見切りを付けた結果、共同開発の意味がなくなったというのが正確だろうか)。
ただこれに対しIntelは、QLCにおいてはFloating Gate方式の方がデータの保持期間が(Charge Trapよりも)長いとしている(Photo06)。
そしてこの延長で、Floating Gate方式のまま5bit/cellのPLC(Penta Level Cell)NANDを現在開発している事も今回明らかにされた(Photo07)。
PLCは2019年8月のFMS(Flash Memory Summit)の基調講演で東芝メモリがその実験結果を明らかにしたことで注目を集めたが、製品としての出荷が可能なレベルにはまだ至っていない。Intelにしても、恐らくはSapphire Rapidsあたりの世代ではまだ難しく、その先(Future Intel Xeon Processorの世代)になりそうな気がするが、とりあえずIntelは引き続きFloating Gateに突っ走る事が明らかにされた形だ。
余談であるが、現状クライアント向けSSDは、Photo05で言う第2世代の64層QLC 3D NANDチップを利用して提供されているが、間も無く第3世代の96層QLC 3D NANDチップを利用したIntel SSD 665Pが提供予定という話であった(具体的なスペックとか価格などは不明)。
すそ野の拡大を目指すOptane DC Persistent Memory
最後がOptane DC Persistent Memoryに関する話である。現在Optane DC Persistent Memoryは(アプリケーション側の対応も必要な事もあって)サーバー向けのみの提供であるが、間も無くこれをワークステーション向けにも展開していくほか、その先にはクライアント向けにも提供を予定しているという話であった(Photo08)。