ラックは9月25日、都内で記者会見を開き、テレワークの安全性を高めるためセキュアとパートナー契約を締結し、同日から「顔認証のぞき見ブロッカー」の販売を開始すると発表した。価格は税抜で1台あたり1万9800円となり、発売後2年間で20社への導入、1万ライセンス販売を目標としている。
顔認証のぞき見ブロッカーは「画面に表示された情報の保護」に特化した端末インストール型ソフトウェア。顔認証技術を活用することで、事前登録した人物以外の顔を検知した場合や操作者の不在を検知した場合にパソコン画面をロックする。
また、操作画面キャプチャ画像、カメラ画像をログとして保存・管理する機能により、のぞき見やなりすまし、故意による情報漏洩リスクの低減を図るという。
ラック 理事 シニアコンサルタントの槻山幸司氏は総務省のテレワークの最新動向と総務省の政策展開(2019年5月31日)を引き合いに「従業員数100人以上の企業におけるテレワークの導入割合は13.9%で、『テレワークの課題は情報セキュリティの確保』と回答する企業は43.7%に達する。外部脅威や内部過失、内部悪意など多様なリスクがある中で大半はITでの対策があるものの、公共施設におけるデータののぞき見に対して、ITによる強制的対策がなく、多くの企業がリスクに気づいていない」と指摘する。
そして、なぜのぞき見対策なのかについて同氏は「情報盗難原因追跡が難しいことに加え、テレワークが一般的になりつつあるからこそ重要な課題であり、プライバシーフィルタでは利用の徹底が困難などの課題がある」と説明した。
そこで、同社では働き方改革支援サービスの提供を通じて、のぞき見リスクへの懸念からテレワークの導入を躊躇している企業への対応を進める中で、実際に課題を抱える企業にセキュアの顔認証技術を活用した顔認証のぞき見ブロッカーが有効か否かの検証を実施。その結果、パソコンに物理的に装着するプライバシーフィルターだけでは防ぎきれないのぞき見への対策が有効であることを確認した。
セキュアは、主に入退室管理ソリューションや監視カメラソリューションを提供しており、国内において顔認証シェアはNECに次いで2位の34%を占める。
情報保護に関する機能としては、登録されたユーザーがパソコンの前にいるかを検知する「正規ユーザー認知」、登録ユーザーが一定時間認知されない場合、不在と判断する「不在検知」、未登録ユーザーが検知された場合、なりすましと判断する「なりすまし検知」、登録ユーザーと未登録ユーザーが検知された場合、のぞき見と判断する「のぞき見防止」となる。
また、異常事態(不在、なりすまし、のぞき見)が確定された場合、Windowsをロックする「異常時のWindowsロック」、利用ログや操作ログ、異常事態確定時のみ操作画面キャプチャ、カメラ画像をログとして保存する「イベントログの保存と閲覧」も備える。
さらに、テレワーク時の利便性を向上させる特化機能としてVPNクライアントなどの指定したアプリケーションを使用した際に自動監視を開始するほか、特定ソフトウェア起動時や特定IPアドレス割り当て時といった情報保護を開始する条件設定が可能な「情報保護の実施条件設定」、顧客にパソコン画面を見せながら説明をする時などに一時的な画面ロックオフモードを利用できる「のぞき見許可モード」がある。
セキュア 代表取締役の谷口辰成氏は同製品に関して「一番のポイントは、いかにユーザーが快適に使ってもらえるかということだ。AIはCPUやGPUのリソースを使えば精度の向上が図れるが、アプリケーションサービスは人事や総務など、それほどハイスペックではないマシンを用いて快適に操作できるかが重要となる。われわれは、軽量化と精度を実現しており、管理者もシンプルにコントロールできる」と強調していた。