本田財団(石田寛人理事長)は20日、人工知能(AI)の機械学習手法の一つであるディープラーニング(深層学習)の先駆的研究と実用化に貢献したトロント大学名誉教授・ベクター研究所主任科学顧問のジェフリー・ヒントン博士に2019年の本田賞を授与すると発表した。
本田賞は今年で40回目。授与式は2019年11月18日に東京都の帝国ホテルで開催され、メダル、賞状とともに副賞として1000万円が贈呈される。
本田財団によると、ヒントン博士は2002年に新たな高速学習アルゴリズムを発表するなど、AIが膨大なデータを効率的に処理することを可能にし、ディープラーニングの飛躍的な進化を実現した。さらに09年に「多層ニューラルネットワーク」によって音声認識技術の劇的な性能向上を、12年には「深層畳み込みニューラルネットワーク」によって従来の画像認識技術を超える精度をそれぞれ実現するなど、ディープラーニングを使ったコンピューター技術に革命をもたらした。
同財団は、AIが社会の新たな姿を創造する手段となり、安全・安心な暮らしを実現してエネルギー問題や気候変動、自然災害といった人類の重要課題の解決に寄与すると指摘。その上で、現在世界中に広がるAIを活用したサービスのほとんどはヒントン博士の研究成果がなければ実現しなかった、としている。
ヒントン博士は1947年12月英国生まれ。1970年にケンブリッジ大学で実験心理学学士号、78年にエジンバラ大学で人工知能博士号をそれぞれ取得。87年にトロント大学のコンピューターサイエンス学部教授に就任した。
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