日本マイクロソフトは9月11日、経営層やビジネスリーダー層を対象にした「AI ビジネススクール」を開設したと発表した。「AI ビジネススクール」は、ビジネスの意思決定や AI を組織に導入するにあたり必要となる知識について、業種業態毎の導入事例に基づき、実践的な方法で習得できるプログラムで、オンデマンドで無償提供される。
日本マイクロソフト 執行役員 常務 マーケティング&オペレーションズ部門担当 岡玄樹氏は、AIの国内導入率の資料を示し、「AI検証中であるという企業は国内で1/4くらいあり、AIを戦略のコアに据えている企業は10%以下で、これだけAIが注目されていても、AIを導入している企業は33%程度に過ぎない。われわれとして危機感があるのは、AI検証中の企業で、日本はPoCを実施してダメになり、プロジェクトが止まってしまうケースが多い点だ。AIに関しては、PoCを繰り返していく企業のみがAIをカルチャーにできる。そのためには、これまでの情報システム部門だけと会話すれば良いという世界ではなく、経営者がしっかりAIの話の乗ってくることはもちろん、事業責任者とエンジニアが会話し、AIをどう利用していくのかという知見を深める必要がある。これをどうやって体系的に届けるかを考え、本プログラムを用意した。これはAIと経営を融合するビジネスプログラムだ。ビジネスリーダー向けのAIとしては日本初となる」と、「AI ビジネススクール」を提供する背景を説明した。
「AIビジネススクール」のコンテンツは、以下の4項目から構成される。
・AI戦略の策定:組織におけるAIの役割について戦略的かつ総合的に考えるためのフレームワークを確立
・AI活用に向けた組織文化の醸成:AIを活用して、財務、マーケティング、営業およびお客様サービス向けのソリューションを提供できる組織への変革を推進
・ビジネスにおける責任あるAIのあり方:リソース、ベストプラクティス、およびツールを備えたガバナンスモデルを開発するためのガイドラインを作成
・ビジネスリーダー向け最新AIテクノロジー:組織が活用できるAIツール、製品、およびサービスの最新状況の理解
岡氏は「AIビジネススクール」について、「業種別にコンテンツを提供する点と、グローバルの知見を集約している点が大きな特徴だ。われわれの製品は、日経225社の9割以上に提供しているので、その関係性を駆使して、まずは、これらの企業にプログラムを使っていただきたい」と語った。
また、デジタルハリウッドを展開するG's ACADEMYは、「AIビジネススクール」をフォローする形で、ビジネスリーダー(経営幹部層および、経営企画、総務担当者) および 社内エンジニアを対象にした社員研修形式での AI トレーニング(有償)プログラム「AI Biz Camp」を提供する。1DAYのカリキュラムで、「AI ビジネススクール」をベースとし、AIトランスフォーメーションの他社の成功事例を基に「自社」変革を思考するワークショップや座学だけではなく、手を動かしてAIを理解するハンズオン演習が特徴。
G's ACADEMY ジェネラルマネージャー 児玉浩康氏は、「AIはツールではなく戦略そのもの、コアそのものであるため、スタートアップが成功している。AI Biz Campは、AIを活用したデジタルトランスフォーメーションを推進するビジネスリーダー向けのもので、セミナーではなく、他社の成功事例にもとづき、自社でデジタルトランスフォーメーションをどう進めていくかを考えるものだ。AIに触れて体感的に理解することを重要視している」と語った。
また、AI Biz Campを実施後、自学自習を支える月1回のコミュニティ「MS AI Guild」に所属してもらい、AI を軸とした情報交換やセミナーを継続実施するという。