凸版印刷と日本体育大学は9月9日、トップアスリートの動作解析データを基に個人に合わせた最適な動作トレーニング法を提供する「標準動作モデルを用いたループ型動作トレーニングシステム」の共同研究を開始すると発表した。共同研究により、子どもから高齢者まであらゆる世代におけるスポーツ愛好者や競技者の運動能力向上と健康増進の実現を目指す。
共同研究は、日体大大学院体育科学研究科 阿江通良教授が開発したスポーツバイオメカニクス(人間の動作やスポーツ動作を力学的に研究し、動作のメカニズムや技術の原理の究明、障がい予防などを目的とした体育スポーツ科学の基礎的分野の1つ)的手法による標準動作モデルと経験豊かな指導者が持つ運動者の特性に応じた指導方法を統合し、各種スポーツ動作の模範的動作を習得する動作トレーニングメソッドを構築する。
データベースに蓄積された標準データに基づき、凸版印刷が持つ先端表現技術を活用したループ型(トップアスリートの動作解析データと運動者の動作を比較し、改善点を指導者がアドバイスし、アドバイスをもとに動作の修正・試技を繰り返すことで、最適かつ効率的に動作の改善などを実現する手法)動作トレーニングシステムの開発を行う。
具体的には、日体大がアスリートをモーションキャプチャし、効率的で身体への負担が少ない標準動作モデルを作成するとともにコーチのトレーニング方法をデータベース化し、凸版印刷は標準動作モデルと運動者を比較し、改善点を抽出するための可視化技術を開発。
また、コーチが運動者を評価し、改善のためのトレーニング方法をアルゴリズム化し自主的なトレーニングを可能とするほか、ユーザビリティ向上のためのプラットフォーム化を実現するという。これにより、標準動作モデルと自身の動きを比較し、動作の差分などを算出したスコアの情報から、模範的な動作や個人に合わせた最適なアドバイスを受けることを可能としている。
共同研究により、スポーツにおける効率的で身体への負担が少ない動作トレーニングを実現するとともに、同システムを活用して指導者のスキル向上や教育現場での活用による子どもの能力の向上、高齢者の健康増進に貢献するとともにスポーツ市場の活性化を図る考えだ。
共同研究における役割として、凸版印刷は動作トレーニングメソッドのデータベース構築、先端表現技術を活用した標準動作モデルを用いた動作トレーニングシステムの開発を、日体大は動作解析データの標準モデル化における監修、大学が擁するアスリートの動作やコーチ陣の指導方法に関連するデータ提供を、それぞれ担う。 今後の目標
今後、両者は共同研究を進め、同システムを教育機関、スポーツクラブ、企業・学校のスポーツチーム、スポーツ用品メーカーに向けて、凸版印刷から2020年度中の販売開始を予定。また、各種競技における標準動作モデルと最適なコーチング手法を統合した動作トレーニングメソッドのデータベースを構築し、さまざまな事業者へ向けてアプリをはじめとした最適コンテンツを配信する動作トレーニングプラットフォーム事業の提供も目指す。