NTTデータは9月2日、「レジ無しデジタル店舗出店サービス」を小売業界向けに提供開始した。また同日、今年の6月に開設したデジタルビジネスのデザインスタジオ「Fluid Experience Design Studio "AQUAIR"」での体験会を開催した。

  • NTTデータが都内六本木に設置したデジタルビジネスのデザインスタジオ「Fluid Experience Design Studio "AQUAIR"」

レジ無しデジタル店舗出店サービスは、会員登録した顧客が、QRコードでゲートを認証入店し、商品を手にとって、会計することなくそのまま持ち帰ることを可能にするシステム。無人で店舗を運営できることから、コンビニエンスストア、スーパー、ドラックストアなどが興味を示しているという。

決済は中国のCloudPick社(クラウドピック)と業務提携することで、店内に天井に設置されたカメラ映像と棚の重量センサーのデータをもとに行う。

CloudPick社はすでに中国で30店舗ほどのレジ無し店舗を展開しており、実績と技術の面で採用を決定したという。

  • 顧客(要会員登録)はゲートでスマホのQRコードをかざして入店する

  • スマホのQRコード

  • ほしい商品を手にとって、そのまま会計をせずにゲートを出る

  • するとアプリ内で自動で決済される。顧客はとくに何もする必要がない

  • ゲートを出て1分程度でアプリ内のレシートも参照可能になる

  • 天井に設置されたカメラ。実験店舗では30個ほど設置されているが、実店舗は天井が高いので台数は減らすことができるという

「レジ無しデジタル店舗出店サービス」は、3段階で構成される。

最初のステップは、NTTデータが都内に設置した実験店舗(「Fluid Experience Design Studio "AQUAIR"」)で体験をしながら課題の洗い出しとビジネスプランの仮説を顧客と共同で作成する。

2番目のステップは、作成したビジネスプランの仮説検証で、実際のレジ無しデジタル店舗を顧客が出店し、作成したビジネスプランを顧客と一体となって検証し、多店舗展開に向けた課題と対応方針を明らかにする。

そして3番目のステップは、、多店舗展開するためのサポートで、レジ無しデジタル店舗を多店舗展開する上で想定される多様な店舗形態や商材を踏まえた企画・業務オペレーション設計のコンサルティングや、多店舗展開に耐えうるシステムインフラの提供、導入するソフトウエアや機器の品質向上など、レジ無しデジタル店舗を多店舗展開するためのエコシステムを設計する。

  • 「レジ無しデジタル店舗出店サービス」の3段階で構成

NTTデータは今後、同社の決済総合プラットフォーム「CAFIS」(キャフィス)と連携し、多様な決済手段やデバイス等含めてリアル店舗・ECサイト双方での決済接点を提供するなど、次世代デジタルストアプラットフォームを構築。さらに、同社が主催するオープンイノベーション活動「豊洲の港から」などに参加する、先進技術を持ったベンチャー企業と協力し、レジ支払い無しで商品を購入できる機能にとどまらない、新たな機能を順次拡充していく予定だという。

そして、本サービスの提供を2022年度末までに小売業界1000店舗へ導入することを目指す。

  • NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部長 内山尚幸氏

NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部長 内山尚幸氏は「本日のソリューションは、お客様といっしょにデジタル店舗を実現していくものだ。デジタル化においては、いろいろな実験は行うが、なかなか成果に結びつかないという課題がある。われわれは、単にITサービスを提供するだけでなく、きとんと商用展開まで押し上げて、成果に結びつけるという思いでサービスを提供していく」と、実展開にこだわってサービス提供を行っていく考えを明らかにした。同氏は、できれば本年度中、遅くとも来年度には商用サービスしたいとした。