ANAホールディングスと長崎県五島市は8月29日、自律制御システム研究所(ACSL)、NTTドコモ、プロダクションナップ(NAP)と協力して、長崎県五島市における有人島間にドローンを用いた物流網を構築し、二次離島地域住民の生活利便性を向上することを目指したドローンによる物流の実証を行うと発表した。今後、五島市無人物流協議会(仮称)を設立し、地域住民、域内の小売業者、医療事業者などと連携体制を構築し、今年度内に合計20日間の実証実験を行う方針だ。

実証実験は第1期検証が9月25日~10月4日、第2期検証が2020年1月頃の10日間を予定し、飛行区間は福江島~黄島および赤島、運搬物は生活用品、食品、医薬品などを想定している。

  • 福江島と黄島、赤島の地図

    福江島と黄島、赤島の位置関係

五島市は11の有人島と52の無人島で構成し、住民サービスの観点から離島部の利便性の向上を目的に11の有人島間における物流の将来にドローン物流の実運用を目指すことに加え、雇用の創出を目指す事業を2018年度から実施しており、奈留島-前島間の物流実証において人口24人の前島に模擬薬と食料品の輸送を試みている。

令和元年度事業では、五島市無人物流協議会(仮称)を設立し、発注から受け取りまでの仕組みの検討および検証、ならびに市内でドローン物流オペレーションを担う人材を育成し、将来的な市内離島部でのドローン物流の実用化を目指す。なお、同事業は内閣府地方創生推進交付金事業ドローンi-Landプロジェクトの一環として実施する。

赤島は福江島の南、約7km沖に位置する有人島で福江港からは約15km、定期船で30分程度。商店や水道はなく、福江島から食料などを取り寄せるか福江島に買い物に出ることとなり、昭和30年には350人以上の人が暮らし、伊勢海老の漁が盛んだったが、現在は雨水を貯水して10世帯13人が生活をしている。

黄島は福江島の南、約8km沖に位置し、定期船が1日に2回、福江-赤島-黄島と結ぶ。島内には商店が一軒と民宿が2軒あり、水道も整備されており、昭和30年には約650人いた島で現在は25世帯35人が生活している。

各社の主な役割として、ANAHDはドローンの運航管理 (本事業の受託事業者)、協議会事務局を、ACSLは機体の提供および運航サポート、ドコモはドローンの上空飛行に係るLTEネットワークの提供、およびdocomo sky(ドコモ スカイ)の運航支援基盤による上空の電波状況を考慮した運航計画の策定支援を、NAPは運航サポートを、五島市は事業の発注者であり、検証対象となる地域および関係者との調整などをそれぞれ担当する。