ヤマトホールディングス(YHD)と米テキストロン傘下のベルは8月27日、昨年10月に両社で発表した合意内容をもとに、2020年代前半のサービス開始に向けた取り組みの第一弾として、同26日に米テキサス州フォートワース郊外においてベルが開発した「APT 70(Autonomous Pod Transport 70:自律運航型ポッド輸送機)」とYHDが開発した貨物ユニット「PUPA(Pod Unit for Parcel Air-transportation:荷物空輸ポッドユニット)」の機能実証実験に成功したと発表した。
ベルとYHDは顧客に新たな価値を提供するため、両社がこれまで培ってきたノウハウを融合させた空の新たな輸送モードの構築を進めており、大型・中型eVTOL機(Electric Vertical Take-Off and Landing:電動垂直離着陸機)を活用した物流領域においてグローバルリーダーとなることを目指している。
今回、両社は改めてサービス導入の予定を2020年代前半に設定し、取り組みの第一弾としてそれぞれが開発したeVTOLシステム構成要素の連接性に関する機能実証実験を実施した。
ベルのAPT 70は、テイルシッター型の電動垂直離着陸機にペイロードポッドを搭載。時速100マイル(時速160km)以上の速度で飛行し、70ポンド(32kg)の積載量を有する。
PUPA70XGは、APT 70などの貨物eVTOL機に結合して荷物を空輸することのできる貨物ユニットで、70ポンド(32kg)までの積載可能重量を持つ試験機。同機体は、巡航中には高い空力特性を持つ一方、地上ではさまざまな環境下において荷積み・荷下ろしや搬送を容易に行うことができるという。
実証実験では、両社で開発した技術を連携し、(1)APT 70の空力特性を最適化した姿勢での自律飛行、(2)飛行中および地上での作業時の高い安全性と可用性、(3)空輸からラストワンマイルへのシームレスな輸送形態の遷移、(4)荷物の格納および取り出しに関する取り扱いの容易さの4項目について検証および証明した。
また、実証実験の成功を踏まえ、両社は2020年代前半までにAPT 70がYHDの荷物輸送システムに導入され、オンデマンド物流サービスの創出を目指す。