アビームコンサルティングは8月27日、同31日に東京都江東区の豊洲エリアで住民参加型の都市型AI防災訓練を実施すると発表した。同エリアでの訓練実施は昨年9月に続く、第2回目となり、同日の9:00~14:00に江東区立豊洲西小学校体育館で行う。

2017年の九州北部豪雨や2018年の大阪北部地震、西日本豪雨など、自然災害が立て続けに発生し、災害規模は激甚化しており、近年ではスマートフォンの普及に伴い、災害発生時に住民や被災者がSNSを通じて被害状況や救援要請を発信するケースが増え、投稿数は自治体単位で数千件に達するという。

各自治体においては、膨大な投稿の中から正しい情報を取り出し、的確な災害状況の把握や早期の危機対応に活用することで、災害被害の防止・最小化を図る仕組みの確立が求められている。

今回の訓練は、AIを用いた自然言語処理技術により解析・整理した結果を利用者に提供する「高度自然言語処理プラットフォーム」を活用し、住民が投稿するSNS情報から必要な情報を収集・分析することで、マンション自治会役員や地域の災害協力隊が迅速な地域被害状況の把握や危機対応体制を構築できるようにするだけでなく、住民の自助・共助の意識の向上を目的としている。

同社は、住民のSNS投稿の実施訓練や投稿されたSNS情報の中から高度自然言語処理プラットフォームを用いて、地域の被害状況把握、危機対応に必要な情報を取り出す訓練、地域防災の強化に向けた対応策の検討を支援する。

高度自然言語処理プラットフォームは、情報通信研究機構(NICT)が開発したDISAANA/D-SUMMの自然言語処理技術をベースに自然言語処理技術による分野横断的な情報通信プラットフォーム。

  • 高度自然言語処理プラットフォームの概要

    高度自然言語処理プラットフォームの概要

発災時にSNSなどに投稿されるインフラの被災状況や被災者・避難所の状況、帰宅困難者の状況をリアルタイムで解析し、場所やカテゴリごとに分類して利用者に提供することができる(地方自治体の防災情報システムとの連携も可能)。

また、同プラットフォームで処理するSNSなどの情報は地震計や水位計、ドローンをはじめとしたセンサの情報と補完的に利用することを可能としている。

例えば、各地の揺れの状況や水位上昇の様子をセンサで把握し、実際に現地で土砂崩れや建物倒壊、浸水などの災害が発生しているかをSNS情報で確認、両者を重ね合わせることで対応を検討するといった用途が考えられるという。研究開発においても、防災科学技術研究所が開発した府省庁連携防災情報共有システムSIP4Dなどが提供するセンサ情報との連携、重ね合わせなどの研究を進めている。