NTTデータ経営研究所は8月23日、「日本企業のデジタル化への取り組みに関するアンケート調査」の結果を発表した。
同調査は同社が2019年7月23日から8月4日にかけて主にWebアンケート形式で実施したものであり、対象は国内の大企業・中堅企業の1万4509社、有効回答数は663社(回答率は4.6%)。
これによると、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる企業は全体の42.7%であり、企業規模が大きいほど取り組み企業の比率が高くなる傾向にあるという。また、売上1000億円以上の大企業では77.9%がDXに取り組み中であり、売上500億円未満の中堅企業でも34.0%が既にDXに取り組み中だった。
DX取り組み企業に取り組みはこれまでのところ上手くいっていると思うか尋ねたところ、「強くそう思う」または「概ねそう思う」と回答。DXにポジティブな感触を持っている企業は42.4%だった。
一方で、「そう思わない」「あまりそう思わない」と回答したネガティブな感触を持っている企業は47.6%であり、DXにポジティブな感触を持っている企業よりも多い。
DX取り組み企業がどのようなテーマのDXに取り組んでいるかを見ると、「業務処理の効率化・省力化」が84.0%と最多であり、「業務プロセスの抜本的な改革・再設計」が61.1%で続く。
いずれも「守りのDX」だと同社は分析しており、全体として守りのDXが先行し、「攻めのDX」への取り組みはまだこれからといった状況だという。
成果が出ているテーマとしては、「業務処理の効率化・省力化」の40.5%が最も多く、「業務プロセスの抜本的な改革・再設計」の22.7%がこれに続き、いずれも守りのDXにあたる。他のテーマでは、成果が出ているとする企業は20%以下だった。
攻めのDXで成果が出ているという企業の比率が低いことから、難易度の高い取り組みテーマだと同社は見ている。攻めのDXでも成果を出せる土台を持つ企業が増えてくれば、今後取り組みが本格化していくと同社は推察する。
DX成功企業における各経営基盤の項目として当てはまる点では、「DXで何を達成するかが明確になっている」や「状況に応じてDXの戦略や計画を適宜修正するなど柔軟に運用している」といった戦略面や、「DXの推進組織またはチームは関係部門を巻き込んで組織の役割を果たしている」「組織間で連携し、全体最適の取り組みを進めやすい組織構造になっている」といった組織面が見られた。
一方、当てはまらない点では、「DXを推進したことが評価される人事制度になっている」「業務とITに関する深い知識と経験を兼ね備えた人材が豊富にいる」といった人材面や、システム面における「基幹システムの構造が柔軟で新しいテクノロジーを取り込みやすい」、ガバナンス面における「DXに関する投資判断には従来とは異なる投資対効果基準を適用している」があった。
DX成功企業とそれ以外の企業との各経営基盤のスコアを比較すると、差が大きい項目としては、戦略面での「DXで何を達成するかが明確になっている」「状況に応じてDXの戦略や計画を適宜修正するなど柔軟に運用している」、組織面での「組織間で連携し、全体最適の取り組みを進めやすい組織構造になっている」「DXの推進組織またはチームは関係部門を巻き込んで組織の役割を果たしている」、ガバナンス面での「各DX施策を個別施策単位ではなく、施策群として依存関係と進捗を管理し、整合性をとっている」が上位5項目だった。