半導体市場動向調査会社である米IC Insightsは、2019年上期(1~6月)の半導体企業の売上高ランキングトップ15を発表した。
同社の語る半導体売上高とは、世界半導体市場統計(WSTS)の製品カテゴリにもとづき、ICとO-S-D(オプトエレクトロニクス、センサ、ディスクリート半導体)売上高の合計だが、ファウンドリであるTSMCもその企業規模の大きさを示すため含めた形で示されている。トップ15社の本社所属国・地域別内訳は、米国が6社、欧州が3社、韓国、台湾、日本がそれぞれ2社ずつとなっている。
売上高トップはIntelで、2017年第2四半期にメモリバブルの恩恵で同社を抜いたSamsung Electronicsをメモリバブル崩壊とともに2018年第4四半期で再び追い抜き、再びトップに返り咲いている。Intelは2019年通年でも業界1位の座をSamsungから取り戻すことが予想されている。
また、トップ15の2019年上期の売上高合計は、前年同期比で18%減となった。半導体業界全体の同期の売上高は同14%減であったため、全体の売上高よりも上位15社の方が悪い結果となっている。
これは、3大メモリサプライヤであるSamsung、SK Hynix、Micron Technologyの同期売上高が同33~35%減という結果によるものであるとIC Insightsでは説明している。また、上位15社中9社が上期売上高50億ドルを記録しているが、これは前年同期と比べると1社少ない結果となっている。また、2019年上期のトップ15社に入るためには最低でも約37億ドルを売り上げる必要があった。
2019年上期のトップ15には、前年同期と比べて、2社が入れ替わっている。1社はファブレスのMediaTekで、2018年上期の16位から15位へとランクを1つ挙げてきた。もう1社はソニーセミコンダクタソリューションズで、2018年上期の19位から、一気に14位まで上がってきた。
このソニーだけがトップ15社中唯一の前年同期比プラス成長を達成し、しかも2桁成長を達成した企業となっている。同社の半導体売上高の90%はICではなく、CMOSイメージセンサを中心としたO-S-Dデバイスで、WSTSの製品分類では、イメージセンサは、周辺回路を含んでいても、伝統的にO-S-Dに分類されている。
ソニーがフォーカスするスマートフォン(スマホ)市場は台数自体は飽和し、減少傾向にあるにもが、スマホ1台当たりのイメージセンサ搭載個数は増加傾向にあり、それがソニーの業績を引き上げる後押しとなっている。ただし、次のビジネスとして期待している車載向けについては、参入障壁が高く、同分野で市場トップを独走するON Semiconductor相手に苦戦を強いられる状況となっている。
トップ15社入りを果たした日本企業は、ソニーのほか、東芝/東芝メモリが9位に入っている。ただし、東芝メモリはもはや東芝の子会社ではなく、社名も2019年秋にはキオクシアと改名されることから、本来なら分けるべきだとは思うが、東芝メモリが東芝の連結決算子会社であった2018年第1四半期のデータと比較するための措置と思われる。国内マイコンメーカーの雄であるルネサス エレクトロニクスは前年に続き、今回もランク外(15位外)となっている。
もし、TSMCをランキングから除外した場合、15位に入ってくるのは、中国に拠点を置くHuawei子会社のファブレス企業HiSiliconが35億ドルでランクインすることとなる。その成長率は同25%増で、ソニーを抜いて、トップの成長率を示すこととなる。とはいえ、HiSiliconのIC売り上げの90%以上は親会社であるHuaweiへの販売であるため、米国政府によるHuaweiのブラックリスト化が、年後半のビジネスに影響を及ぼす可能性もあるという。
なお、トップ15社の2019年第3四半期の売上高について、同社では前四半期比で21%増~2%減とばらつくが、概して第2四半期よりも売上高は増加するとIC Insightsでは予測している。