KDDI総合研究所、KDDI、常葉大学、国土緑化推進機構は8月21日、鳥獣による森林被害の軽減のため、IoTを活用した森林管理効率化の実証実験を、8月より開始することを発表した。
実証実験では、静岡県内の植林地域にて広範囲に設置された防鹿柵を遠隔監視する手法の確立を目指すもの。
具体的には、植林地域を囲う防鹿柵に、加速度センサー、並びに無線通信モジュールを搭載した振動検知センサーデバイスを一定の間隔で設置し、KDDI総合研究所にて考案した防鹿柵の振動原因(動物の衝突、風など)をAIにより推定する手法を検証するという。
この実証実験を行う植林地域はモバイル通信の圏外であることから、収集した揺れデータをクラウドに送信するためのセンサーネットワークを構築。揺れデータはセンサーネットワークと、モバイル通信が可能な場所に設置されたゲートウェイ装置を経由し、クラウド上のサーバーに送信されるという。
また、この植林地域は電力会社からの商用電源が届けられていないエリアであることから、振動検知センサーデバイスは省電力回路を採用しボタン電池で、センサーネットワークを構成する装置はソーラー発電で動作し、商用電源のない場所でも常時監視することが可能とのことだ。
なお、各機関の役割は、KDDI総合研究所が振動検知センサーデバイスの開発、センサーネットワーク・クラウド環境の構築、防鹿柵の振動原因推定アルゴリズムの確立、KDDIがLTEネットワークの提供、常葉大学が鳥獣被害対策に関する情報の提供、実験方法の検討、そして国土緑化推進機構が森林管理に関する施策・情報の提供を担う。
今後は、この実証実験を通じて取得した揺れデータを検証し、振動原因の推定精度の改善を継続していくとともに、アラーム発報など実監視業務への適用性を検証していくとしている。