昭和電工は、SiCエピウェハの6インチ(150mm)品として、現在量産出荷中の低欠陥グレード「ハイグレードエピ(HGE)」をさらに高品質化した第2世代品「HGE-2G」を開発したと発表した。

SiCは太陽光発電や鉄道、電気自動車(EV)など高電圧が必要とする分野でSiのパワー半導体からの置き換えが期待されており、SiCのショットキーバリアダイオード(SBD)とSi-IGBTを組み合わせたハイブリッドインバータがさまざまな分野で活用されるようになってきたほか、近年ではSiCエピウェハの品質が向上したこと、ならびにデバイスプロセスの高度化などにともない、SiC-MOSFETが実用化され、フルSiCインバータの普及も徐々に進みつつある。

特に、EVや鉄道車両向けのモーター駆動インバータモジュールでは100A級の大電流を1デバイスで扱う必要があるため、SiCチップも10mm角級に大型化することとなるが、高い歩留まりを達成するためにはエピウェハの表面欠陥密度を0.1個/cm2以下に抑える必要があるとされている。

今回開発されたHGE-2Gは、エピ成長プロセスの高度化などにより、デバイス初期歩留りに影響する表面欠陥密度を前世代比1/2以下に、デバイスの信頼性(通電劣化)に影響する基底面転位の基板からの伝播における変換効率を同10倍以上に高めることに成功したものだという。

なお同社では、SiCエピウェハの世界最大級の外販メーカーに向けて、今後も高信頼性品の開発や増産投資を進め、SiCデバイスの普及に貢献していくとしている。

  • 昭和電工

    昭和電工の開発したHGEとHGE-2Gの品質の差