半導体市場調査会社である米IC Insightsは、2019年のIC製品カテゴリ別売上高および出荷数量予測データに基づいた市場予測を発表した。
全カテゴリ最大の下げ幅でも最大シェア市場のDRAM
このIC製品カテゴリはWSTS(世界半導体市場統計)の定義(33分類)に基づいたもので、中でもDRAMの市場規模はメモリバブルに沸いた2018年に994ドルに達したが、メモリバブルが崩壊した2019年は前年比38%減の620億ドルと、全カテゴリ中、最大の下げ幅を記録することが予想されている。しかし、それでもDRAM市場は、全カテゴリ中で最大のシェア(金額ベース)を維持する見通しだという。ただし、そのカテゴリ別に見たシェア比率は2018年の23.6%に対し、2019年は17%まで下落すると予測されている。
一方、2018年のカテゴリ別市場規模で2位となったNANDだが、2019年は同32%減の406億ドルとなり、3位に転落する見通し。
DRAMとNANDを合算したメモリ市場は、2018年には全カテゴリ中の38%となっていたが、両者ともに大幅なマイナス成長でその比率は29%にとどまる見通しとなっている。過去10年において、DRAMはICカテゴリ中の14~16%、NANDも11~12%ほどを占めており、2016年後半以降、供給不測から平均販売価格が上昇し、2018年にDRAMの売上高が1990年代以降で初めてMPUの売上高を上回った。
ICカテゴリ2位に汎用MPUがランクイン
2019年のICカテゴリ別売上高でNANDに代わって2位に入ると予想されているのが、従来のPC、サーバ、大型コンピュータ、および広範囲の組み込みアプリケーション向けの汎用マイクロプロセッサ(MPU)である。
2018年のMPU売上高は、5年ぶりにPCの出荷台数が伸び、クラウドコンピューティングのデータセンター、インターネットベースの企業へのサーバの出荷台数が増加したことから同11.0%増の538億ドルと過去最高を記録している。2019年も比較的堅調に推移しており、成長率は同2.5%減と、世界的な経済成長の鈍化の影響を受けたといえ、奮闘しているといえるだろう。
また、4位はコンピュータおよび周辺機器 - 特殊用途のロジック、5位は携帯電話アプリケーションプロセッサで、いずれも2019年は1桁のマイナス成長となる見込みである。
全IC出荷数量の55%を占めるアナログ
なお、出荷数量に関しては、5つのもっとも大きな製品カテゴリのうち4つが何らかのタイプのアナログデバイスであるとIC Insightsは予測している。
アナログデバイスは、2019年に出荷される見込み数である3017億個の全ICの55%を占めると予想されており、数量ベースでのトップは電力管理用アナログデバイスで、全ICデバイスの21%を占め、2位の産業用アナログデバイス、3位のワイヤレス用アナログデバイスを合わせたよりも売上高が高いとされている。ここで特筆すべきことは、自動車用および産業用の特殊用途アナログデバイスについてで、2019年はアナログデバイス全体も同5%減と予測されているにもかかわらず、この2つの分野向けは同9%以上というプラス成長が予測されているという。