加古川市と綜合警備保障(ALSOK)、NTT西日本、ジョージ・アンド・ショーンの4者は8月5日、社会課題である高齢者の認知症が原因による行方不明事案などを解決するために、ICTとAIを活用した新しい見守りサービスの検討を行うことを目的に「健康寿命延伸サービス」の実証実験を開始すると発表した。
加古川市では「総合計画」「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、ICTを活用したまちづくりを進めており、実証実験は見守りサービスの導入など、安全・安心のまちづくりに寄与する事業のプロジェクトに加えて実施するものとなる。
加古川市とALSOKは、これまで官民連携のICTを活用した「見守りサービス」などを通じて、都市の安全・安心を実現するスマートシティプロジェクトを推進しているほか、現在日本は超高齢化の社会課題に直面しており、加齢に伴い発症率が増加する認知症患者数は2025年には約700万人に達し、65歳以上の約5人に1人が認知症になると想定されている。
今後、増加する認知症患者や患者家族への支援、早期発見のための体制整備など、認知症患者を受け入れる環境の構築が急務になっているという。
認知症課題の解決に向けて、NTT西日本とジョージ・アンド・ショーンはICTを活用して、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairmentの略。健常な状態と認知症の中間にあたり、認知機能の低下が見られるものの日常生活に支障をきたさない範囲にとどまるため、周囲に異変を気づかれにくい)の検知エンジンを開発し、増加し続けている認知症患者数の増加を抑制する取り組みを続けてきた。
そこで4者は、MCI検知エンジンに見守りサービスで蓄積してきた位置情報などのデータベースを活用させることで、健康寿命の延伸および社会保険費削減につながる新たなサービスの開発に向けた実証実験を開始する。
実証実験は8月~2020年3月までを予定し、見守りサービスで得られるデータをヘルスケアなどの他分野へ応用し、健康寿命の延伸および、社会保障費削減に寄与するサービス開発を目的に実施、同市内で一般戸建て住宅もしくは一般集合住宅の65歳以上の居住者。
各者の役割として、加古川市は実証実験におけるフィールドの提供を、ALSOKはIoT機器の提供や実証実験に必要な環境整備、実証実験参加者の受付を、NTT西日本はAIを用いたMCI検知エンジンの提供(ジョージ・アンド・ショーンとの共同開発)、健康寿命延伸サービスの有効性評価を、ジョージ・アンド・ショーンはAIを用いたMCI検知エンジンの提供(NTT西日本との共同開発)、IoT機器の提供をそれぞれ担う。
今後、実験の検証で得られた知見を活かして、加古川市とALSOKは健康増進に寄与できるスマートシティづくりを目指し、NTT西日本とジョージ・アンド・ショーンはMCI検知エンジンの機能向上に努め、認知症をはじめとしたさまざまな疾患の予測に取り組む考えだ。