ビルが建ち並び、アスファルトが敷き詰められた空間が多い都内。昼夜を問わず、日々うだるような暑さが続いている。そんななか、ウェザーニューズは東京2020での実用化を目指す「都市気象予測モデル」のために各競技場やマラソンコースなどの事前観測を開始した。
筑波大学計算科学研究センター日下博幸教授の研究室が開発した都市部の細かな状況を考慮する「都市気象予測モデル」は、1〜5mメッシュの超高解像度で複雑な建物が並ぶエリアの乱流をスーパーコンピューターで計算、シミュレートする。研究室の公式ページには、City-LES(Large Eddy Simulation)モデルによりシミュレートされた細かな東京駅周辺の気温変化の様子も掲載されているが、"あの路地は、こんなに暑くなる!"と俄然詳しい情報が得られるようになる。
スタッフが熱中症になりそうなほど気温が上昇するなか、今回、ウェザーニューズと筑波大学が協力して、東京2020各競技の会場周辺での各データ観測を開始。たとえばトライアスロンではスイム1.5km、バイク(自転車)40km、ラン10kmと移動しながら海水温、地上1.5mの気温に湿度やWBGT(暑さ指数)、風向、風速、路面温度と移動しながら観測しており、引き続き10前後の競技会場で観測を繰り返す。また、マラソンコースでは、「都市気象予測モデル」の検証も開始。コース周辺4エリアで、朝7時から30分ごとに、日向/日陰の各条件での気温、湿度、WBGT、風向、風速、路面や建物の表面温度と詳細に観測している。
ウェザーニューズでは、「日本代表チームにとって気象が大きなアドバンテージになるよう、最良の準備につながる競技会場の気象データを蓄積・提供していくとともに、2020年の夏までに観客の熱中症対策にもつながる世界トップレベルの予報技術の実用化に取り組んでいきます」と述べ、筑波大学と協力しながら「都市気象予測モデル」の実用化に向けさらなる検証を進めていく構えだ。詳細なデータがスポーツや生活に寄与していくことが期待される。