シュナイダーエレクトリックは7月29日、都内でセキュアパワー事業部の新バイスプレジデント就任に伴う記者説明会を開いた。説明会には新たに就任したシュナイダーエレクトリック セキュアパワー事業部 バイスプレジデントの多田直哉氏が出席した。

  • シュナイダーエレクトリック セキュアパワー事業部 バイスプレジデントの多田直哉氏

    シュナイダーエレクトリック セキュアパワー事業部 バイスプレジデントの多田直哉氏

同社では、これまでのIT事業部を2019年初頭にグローバルでセキュアパワー事業部に名称を変更した。

多田氏は1992年に大学卒業後にTELECOMET インターナショナルに入社。技術部門の通信系エンジニアとしてキャリアをスタート、2004年にシスコシステムズに入社し、法人・エリアシステム事業部営業部長などを、2010年には日本ヒューレットパッカードに入社し、エンタープライズシステム営業統括本部長、HPネットワーク事業本部長、グローバル アライアンス絵営業本部長を歴任した。

2013年に日本オラクルに入社、執行役員クラウド・アプリケーション事業統括バイス・プレジデント、執行役員CX-クラウドサービスクラウド事業本部長を歴任し、2019年6月から現職 。

冒頭、多田氏は同社に入社した経緯について「1つ目はITとOTの両方を最適化するための技術を持ち顧客を抱える『カスタマーファースト』であること、2つ目は将来を見据えた『ポートフォリオ』を有していること、3つ目は事業構造の成り立ちを踏まえた上で自分で何をするべきかを考える『人事制度』の3つがポイントとなった」と述べた。

多田氏は今後の日本における同事業の方針に関して「顧客のメリットを最大化するために、クラウドサービスモデルを拡大していく。注力分野としては大規模DC、中小規模DC、企業内ITシステム、Non-ITとなる」と説く。

  • セキュアパワー事業部ではクラウドサービスモデルを拡大していくという

    セキュアパワー事業部ではクラウドサービスモデルを拡大していくという

大規模DCはハイタッチアプローチ、中小規模DCではパトナー企業との協業、企業内ITシステムはパートナー企業に加え、ORC、ECの活用、Non-ITに関してはIIoT/IoT向け市場への製品拡充と他事業との協業を進めていく考えだ。

  • セキュアパワー事業部の注力分野

    セキュアパワー事業部の注力分野

同氏は「ITとOTの両観点からビルディングやデータセンター、工場/プラント、電力/公共インフラ対して強みを持っている。デジタル化と電力は密接な関係にあり、大きなトランスフォーメーションが起きている。デジタル化ではクラウドとエッジコンピューティング、電力はグリッド(集中電源)とエッジグリッド(分散電源)と分散化した環境の運用管理が課題になっている」と指摘。

  • 分散化により、デジタル化と電力双方で運用管理が課題となっている

    分散化により、デジタル化と電力双方で運用管理が課題となっている

そこで、同社はオープンで相互運用性を備えたIoTプラットフォーム「EcoStruxure」(エコストラクチャ)を提供することで、企業のトランスフィーメーションを支援している。セキュアパワー事業はデータセンター(DC)やエッジ環境のIT、IT以外の環境に対して電源と冷却ソリューションを提供している。

特に同氏は、エッジコンピューティングにフォーカスしていく方針を示し、同社が考えるエッジは比較的ユーザーの近くに置かれたコンピュータ処理とストレージを「Regional Edge」と、データが発生もしくは使用される場所に置かれたコンピュート処理とストレージを「Loval Edge」と位置づけている。

  • シュナイダーエレクトリックが定義するエッジの概念

    シュナイダーエレクトリックが定義するエッジの概念

多田氏はLocal Edgeについて、工場のフロアなど「環境のコントロールが難しい場所」、店舗といった「ある程度環境のコントロールが可能な場所」、中小データセンターをはじめとした「ITに特化した設備」の3つに分類できると説明した。

  • 3つの環境にエッジは分類できるという

    3つの環境にエッジは分類できるという

同氏は「これら3つの環境に対して、DCIM(Data Center Infrastructure Management)向けの『EcoStruxure IT』はエッジコンピューティングに課題を解決するソリューションとして最適なコンポーネントを提供していく」と強調した。

エッジ環境では、複数の遠隔地にあるサイトや運用管理者のいないサイトなど特有の課題を抱えているが、柔軟にカスタマイズが可能なインフラ監視・管理に加え、ライフサイクル、性能監視のための分析も提供する。また、パートナーは顧客にニーズに合わせて必要なコンポーネントの提供や、アドオンアプリケーション開発なども可能だという。これにより、顧客・パートナーに選択肢を提供するとしている。

  • エッジ向けのEcoStruxureソリューション

    エッジ向けのEcoStruxureソリューション