シュナイダーエレクトリックは7月25日、空調機器メーカー向けプログラマブルコントローラー「Modicon M171」と「Modicon M172」を同29日に国内で発売すると発表した。Modicon M171はHVAC単体の制御を行うベーシックなスタンドアローンモデルで全15種をラインアップ。Modicon M172はHVAC制御を高パフォーマンスで実現する高性能モデルの「オプティマイズドモデル」と、IoT化を促進するネットワーク機能を有した高機能・高性能モデル「パフォーマンスモデル」を用意した。
両製品は、チラーやエアハンドリングユニットなどHVAC(Heating Ventilation and Air Conditioningの略称で、暖房、換気、空調機器など)用途に特化した小型のコントローラー。
シンプルで低価格のモデルから、ネットワーク機能の充実に加え、Webサーバを搭載し、設備の保守や監視が可能なモデルまで、全部で38機種あり、システムの規模や必要とする機能にあわせた選択を可能としている。
フラッグシップのM172パフォーマンスモデルでは、ビルネットワーク用の国際標準規格の通信プロトコルBACnetやWeb サーバを内蔵。
オプションの拡張ネットワークモジュールでLonWorks(米エシェロンが開発した知的分散制御ネットワーク技術でビルオートメーションなどで導入)、CAN(Controller Area Networkの略称で、ホストコンピュータなしでマイクロコントローラやデバイスが相互に通信できるように設計された移動機器向けのプロトコル)など、さまざまなネットワークに対応できるという。産業用ネットワークの機器と直接接続し、制御が行えることで柔軟なシステム設計を可能としている。
これまで日本国内においてはHVAC用途でもFA用のコントローラーなどが使われていたが、デジタル制御が主流のためアナログ制御が求められるHVAC用にはアナログI/Oを別途用意する必要があったという。両製品は、全モデルにアナログ入力を標準装備し、空調機器メーカーは低コストでシステム構築ができる。
また、FA用コントローラーは低温に対応したものが多くないものの、マイナス20度の低温から60度(一部のモデルで55度)の高温までの環境性能を備えているため、低温におけるスペースヒーターなどの追加設置を省くことを可能としている。
さらに、無償でWebサイトからダウンロードできるプログラミングツール「EcoStruxure Machine Expert-HVAC」(エコストラクチャー マシンエキスパート エッチバック)には、「TVDA」(Validated Documented Architectureの略称で、動作検証済み、評価済み、文書化済みのアーキテクチャ)と呼ばれる装置構成のひな型や、回路ブロックなどプログラムを部品化した「ファンクションブロック」が多数用意されており、システム開発効率を高めることができるという。
加えて、国際規格「IEC61131-3」の5言語に対応しているため、PLCメーカー独自のプログラミング言語に影響されることなく、世界標準のプログラムメンテナンスを可能としている。