アクロニス・ジャパンは7月23日、今年の6月1日に新たに代表取締役に就任した嘉規邦伸(かき くにのぶ)氏を紹介するとともに、国内での事業戦略を発表した。
この中で嘉規氏は、今後、「Acronis Cyber Cloud」によるプラットフォームビジネスに注力していく意向を明らかにした。
「Acronis Cyber Cloud」では、Acronis Cyber Infrastracture(最新は3.0)というAcronisのデータセンタと同じ構成で提供されるSoftware-Defined-Infrastractureをベースとする。Acronis Cyber Infrastractureは、仮想コンピュータ、仮想ネットワーク、ストレージを統合する。
この上にオープンソースの「Acronis Cyber Platform」(10月に一般提供開始)がのり、各サービスが提供される。「Acronis Cyber Platform」は個々の機能をAPI/SDKとして提供できるプラットフォーム。
「Acronis Cyber Platform」上では、バックアップ、DR、ファイル同期・共有、アーカイブ、データ解析などのサービス(Acronis Cyber Services)が提供されるほか、アカウント管理、監査、認証管理、リセラー管理、利用レポートなど、プラットフォーム機能も提供される。
嘉規氏は、プラットフォーム機能が他社が提供していない独自の機能だとアピールした。
「Acronis Cyber Cloud」は、管理するデータも管理機能もAcronisのデータセンターで提供するケースと、データのみパートナーのデータセンターに置くケース。さらに、すべてをパートナーのデータセンターにおき、パートナーが自社のサービスとして提供するという3つの提供形態を選択できるという。この際、パートナー独自のサービスをAPI連携によって追加し提供することもできる。
嘉規氏は、「パートナーさんが持っているものを組み合わせてカスマイズできるようなプラットフォームを提供することで、ユーザーの多種多様な環境に対応していく。今後は、これまでどおり、パートナーさんにはわれわれの製品を再販していただくが、パートナーさんにサービスを提供するためのプラットフォーマーの立ち位置でパートナーさんをサポートしていく」と語った。
来日中のAcronisのCEOであるセルゲイ・ベロウゾフ氏も、「われわれはインテルのように顧客にライセンスを提供していく。パートナーは、われわれのプラットーフォームを利用し自社のサービスを提供するのか、われわれのサービスを含めて提供するのかを選択できる」と、今後はライセンスビジネスにシフトしていく意向を示した。
また、同氏は他社のクラウドサービスとの違いについては「他社の製品は使わない機能も提供されているが、われわれのクラウドサービスは単一の目的にのみ提供されるためコスト効率性が高く、使い勝手がよいというメリットがある」とアピールした。
嘉規氏は国内市場の事業戦略として、パートナーとのAPI連携を拡大するほか、クラウドパートナーの数を現在の50から、2021年度に10倍の500社にしたいと決意を語った。
その上で、販売モデルを売り切りモデルからサブスクリプションモデルへシフトしていくとした。