DataRobotは7月23日、都内で記者会見を開き、企業のAI導入や実ビジネスへの運用定着化、組織規模のAIドリブンビジネスを実現するAI特化型「AI サクセス プログラム」の提供を8月1日から開始すると発表した。なお、同プログラムは有償となる。
同社では、機械学習自動化プラットフォーム「DataRobot」を提供しており、ドラッグ&ドロップでのデータの配置、GUIをベースにした操作、データシートにはRやscikit-learn、TensorFlowやVowpal Wabbit、XGBoostなど、多くの機械学習に関わるライブラリに加え、分散処理のHadoopをはじめ、多くのオープンソース技術をプラットフォームに活用している。
昨年には、データサイエンティストの育成プログラム、プロジェクトコンサルティング、機械学習自動化ツールで構成されたAI活用のソリューションパッケージ「AI-Driven Enterprise Package」を提供している。
今回のプログラムは全社規模のプロジェクトに限らず、あらゆる規模の顧客にAIサクセスを実現するために必要となる支援をプログラムモジュールの組み合わせにより提供する。
DataRobot Japan チーフデータサイエンティストのシバタアキラ氏は「AIの活用は拡大しているが、KPIや成果を明確に定義しておらず、全社規模の活用の道筋は立っている企業は限られているほか、実装されることがなくPoC(概念検証)止まりが現状だ。新プログラムは、これまで導入した150社以上の知見を体系化し、製品に付随したサービスとして提供する」と述べた。
新プログラムは、顧客のAI活用状況を特定テーマの推進による課題解決を目標とする「テーマ推進タイプ」、社内にAI推進チームを設け、ボトムアップでのAI利用の横展開推進を目標とする「横展開タイプ」、全社のAI化(AI-Driven企業)の実現を目的としてトップダウンの推進・実行を目標とする「AI-Drivenタイプ」の3つのタイプに分類し、各タイプに最適なAIサクセスプランを作成・実行する。
また、分類タイプに適した「AIテーマ創出ワークショップ」「運用化支援サポート」「DataRobot 社内事例共有会」「エグゼクティブセミナー」などの実行プラン(そのほかにも多数のプログラムを用意)を各パートナーと提供する。
シバタ氏は、同プログラムのアプローチに関して「どのような目標、マイルストーンがあり、現状のリソースを踏まえた上で現実とギャップに対するアクションプランを練り、時間軸を決める。そして、推進していくために必要な体制とサポートを把握し、予実管理による軌道修正を行う」と説明した。
これらを進めていく上で同社では新たにカスタマーサクセスチームを組成し、これまでのデータサイエンスについて助言するCFDS(Customer Facing Data Scientist)と営業に加え、プロジェクトマネージャーを担うAIサクセスマネージャー、技術支援を行うフィールドエンジニアを含めたチームで対応していくという。
DataRobot カントリー・マネージャー/ジャパンの原沢滋氏は「現在、150社以上が導入しており、サブスクリプションの継続率は95%に達する。2017年に時系列分析を行うNutonian、2018年に機械学習のAPIを提供するnexosis、2019年にデータマネジメントのCusorと、MLOps(機械学習基盤)を提供するParallelMを買収し、われわれが提供する機械学習の自動化プラットフォームを強化してきた。今回のプログラムは製品を提供するだけでなく、AIビジネスを成功に導くノウハウを提供するものだ」と強調していた。
なお、同プログラムを実現するためにパートナーとの連携が不可欠となるため、同社だけではなく、既存の代理店パートナー企業(NTTデータ、オージス総研、シグマクシス、トランスコスモス、日鉄ソリューションズ、野村総合研究所)とともに提供することに加え、各パートナー企業はサクセスプランに自社独自のAI支援サービスを付加し、最適なプラン提案を実現するとしている。