IDC Japanは7月12日、国内クライアント仮想化市場の動向について、ユーザー調査を分析した結果を発表した。調査は、クライアント仮想化を導入した企業(550人)および導入を検討している企業(550人)の経営層、IT管理者、エンドユーザーなど計1100人が対象としている。
クライアント仮想化導入済み企業550人の72.7%が、デジタルワークスペースを導入しており、業務/用途、利用場所は多岐に渡り、拡張傾向にあるほか、23.4%の企業がインテリジェントワークスペースを導入済み、もしくは導入する計画があると回答している。
企業は、それぞれの業務に適合したワークスペース戦略を検討する時期を迎えており、「ストレージ仮想化」「ネットワーク仮想化:SD-WAN」「GPU仮想化」「HCI:ハイパーコンバージドインフラ」などへの関心度は4割~5割と高く、VDI環境化において、安定した技術として定着している。
さらに、今回の調査対象者全員のうち4割超が、「音声による電話会議システムとの連動によるVDI配信」「5G環境でのDesktop as a Service」「アプリケーション単位の防御/自動化とVDIの併用」「マイクロアプリとVDI連携」など次世代のテクノロジーに対し関心を示している。
一方、2019年に国内でも発表されたWindows 10 マルチテナンシー対応のパブリック Desktop as a Service「Windows Virtual Desktop」「クラウドページング技術」「次世代仮想化基盤 Azure Stack HCI」など、クラウド関連技術に対する利用要望も高まっているという。
今回の調査では、デジタルワークスペースがユーザー企業の経営課題/ビジネス課題に対する貢献度について、調査分析し「ガバナンス統治とセキュリティポリシー策定」「動的なIT資産と人材の活用」などの経営課題/ビジネス課題へ貢献できたと回答しているIT管理者は6割を超え、2018年と比較して増加している。
また、その効果を「わからない」と回答したIT管理者は、2018年と比べて減少し、20%台になっており、デジタルワークスペースの「ビジネス課題に対する効果的な使い方」が浸透してきたという。
同社のPC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストである渋谷寛氏は「ITサプライヤーとユーザー企業が、先進関連テクノロジーをベースに、デジタルワークスペースを構想し十分に使いこなすことによって、投資対効果、ビジネス課題への適用、事業へのIT活用が向上している。それが満足度向上につながる」と述べている。