半導体市場調査・コンサルティング企業の米Semiconductor Intelligenceは、2019年の半導体市場の成長率について、3月時点の前年比10%減から、同15%減へと予測を下方修正したことを明らかにした。他の市場調査会社や世界半導体市場統計(WSTS)なども予測の下方修正を行っており、半導体市場が予想を上回るペースで悪化している様子が見えてきた。
世界半導体市場統計(WSTS)のデータによると、2019年第1四半期は前四半期比15.6%減となり、これは2009年第1四半期の同16.3%減以来の高い下落率となっている。こうした現状を踏まえ、調査会社やWSTSなどは市場予測の下方修正を行ったことを次々とアナウンスしている。
また、2020年の半導体市場については、WSTSが同5.4%増とするなど、1桁%の範囲でプラスに転じるとする見方が有力で、Semiconductor Intelligenceも同8.0%増と予測している。
大減速のメモリ市場だが、年後半には回復が期待
主要な半導体企業の決算報告に眺めてみると、状況の深刻さが見えてくる。特に第1四半期の3大メモリ企業の業績はSamsung Electronicsが同23%減、SK Hynixが同32%減、Micron Technologyは12月~2月が四半期だが、それで同26%減、そして3~5月の四半期も同18%減と減収が続いている。ただし、Micronによると、2019年後半にメモリ市場は回復の兆しがあるとしており、6~8月期の業績見通しは2~10%減(中央値は6%減)とするほか、Samsungもいくつかのメモリの応用分野で需要の安定化が期待できるとしている。
一方の非メモリ半導体企業も、2019年第1四半期はTexas Instruments(TI)の同3.3%減からSTMicroelectronicsの同22%減に至るまで、メモリ企業ほどではないにしろその多くがマイナス成長となったが、Quaicomm、NVIDIA、Infineon Technologiesなど1桁台前半のプラス成長を達成した企業もある。
Semiconductor IntelligenceのコンサルタントであるBill Jewell氏によれば、非メモリ企業の第2四半期の収益見通しは、全般的に好調であるという。MediaTekは、季節的に好調な第2四半期のスマートフォン向けデバイスの恩恵により、前四半期比17%増のプラス成長を、NVIDIAもゲームやAI(人工知能)向けの伸びにより同15%増を見込むほか、TIやST、Infineonなどの大手企業も1桁台前半のプラス成長を予想しており、流通チャネルの在庫調整と、米中貿易摩擦の影響を受けたIntelだけが同2.9%減のマイナス成長となることが見込まれるという。
また、同氏は「半導体市場における現在の弱さは、メモリ市場における需給の不均衡、主要な最終製品市場の停滞、および世界経済の先行き不透明感に起因している」と分析している一方で、「半導体市場が2019年後半に向けて回復に進んでいるように思われる傾向は良いニュースである」ともしており、こうした動きが2020年にかけて強まっていく見通しであることから、Semiconductor Intelligenceでは2020年の前年比8%増という予測に自信を持っていると述べている。