ソニーならびにソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズは6月24日、細胞分析装置(フローサイトメーター)として44色以上の多色細胞解析を簡単な操作で実現できるスペクトル型セルアナライザの最上位機種「ID7000」を発表した。

フローサイトメーターは、蛍光試薬で染色された細胞にレーザー光を照射し、発せられる蛍光を検出することで、細胞の特性を解析する装置で、1秒間に数万個規模で細胞の大きさや個数、細胞表面ならびに内部の各種情報を取得することができ、免疫学やがん、再生医療などの研究領域では、基礎研究や疾患の原因究明、医薬品開発などを目的として活用されている。

同装置は、独自のスペクトル解析技術を活用することで、最大7つのレーザー(320nm/355nm/405nm/488nm/561nm/637nm/808nm。標準は488nm/405nm/637nm)とレーザー照射により発する光を検出する検出器を188チャネル搭載。幅広い波長で蛍光スペクトルを検出できるため、蛍光情報の、より高精度な分析を可能にしたほか、320nmのレーザーにより、細胞自体が自然に発光する微弱な蛍光情報(自家蛍光)の検出や、将来的には44色以上のさらなる多色解析も実現可能になったという。

また、独自の解析アルゴリズムを用いることで、重複する蛍光色素のスペクトル情報を各色素に分離(スペクトラルアンミキシング)、蛍光波長のピークがよく似た蛍光試薬や蛍光タンパク質の分離も、高精度かつ高速に再現性高く解析することを可能とした。

さらに、作業のシンプル化を目的として、蛍光の波形形状情報などを、スペクトラルリファレンスとして簡単に登録・検索・選択できる機能を搭載。これにより、従来必要だったコントロールサンプルの準備などの前処理や、解析時に重複する色素の補正などを不要とし、多色解析の作業工程の簡略化を実現したとする。加えて、新たに自家蛍光ファインダーを採用したことで、本来取得したい蛍光情報の阻害要因となっていた自家蛍光集団を特定、ほかの蛍光情報からの分離による解析の安定性向上を可能にしたという。

なお、同製品は2020年夏ごろの発売を予定しているという。

  • スペクトル型セルアナライザ「ID7000」

    スペクトル型セルアナライザ「ID7000」の概観