NECは6月21日、生体認証・映像分析事業のデジタルフレームワーク、デジタルHubを整備し、その一環として生体認証・映像分析統合プラットフォームを、先行して北米で2019年7月から提供開始すると発表した。国内でも年内に提供を開始する。

NECが注力するパブリックセーフティ領域に加えて、個人認証から地域活性化に向けたおもてなしまで、社会の様々なシーンに生体認証・映像分析技術の活用を広げていく。

デジタルフレームワークでは、NEC全社のアセットとナレッジ(ノウハウ・知見)を活用するための枠組みである「デジタルフレームワーク」を生体認証・映像分析から整備。様々なユースケースをビジネスフレームワークとして体系化するという。また個々のユースケースを実現するための実装モデルをシステムフレームワークとして定義する。

  • 生体認証・映像分析プラットフォーム

デジタルHubでは、NECの全社共通機能として個別案件を支援するソリューションコア機能と、事業戦略の構築・実行を支援するビジネスコア機能を有する「デジタルHub」を整備。デジタルHubが中心となってデジタルフレームワークを活用することにより、NECのノウハウ・知見を活かしたソリューションを迅速に提供することを目指す。

  • デジタルHub

NECは、このビジネスにおいて、全社横断的な組織として、SI・サービス&エンジニアリング統括ユニットを再編し新たに「デジタルビジネスプラットフォームユニット」を4月1日に新設。IBMでWatsonのビジネスを統括していた執行役員 吉崎敏文氏がデジタルビジネスの事業責任者として事業を推進。フェロー 今岡仁氏が生体認証技術の推進を行う。この組織は社内のAI、セキュリティ、生体認証等のリソースを結集し、戦略策定およびアセット・製品供給の機能を一元化して競争力の強化を図る。

  • 「デジタルビジネスプラットフォームユニット」を新設

NECはこの取り組みにより、同事業について2021年度までにグローバルで1,000億円の事業規模を目指す。

NEC 執行役員 吉崎敏文氏

吉崎氏は、「生体認証はデータの入り口であり、NECは認識の技術を培ってきた。人間をデバイスと捉えると、生体認証がデジタル界のキーだ。NECはNIST(米国国立標準技術研究所)のテスト顔認証、指紋認証、光彩認証がNo.1だ。今回のビジネスでは、生体認証たけでなく、付帯情報である映像分析もターゲットにしていく。それによって、高度な付加価値を提供できる」と語った。

  • 生体認証+映像分析で提供する価値

また、1,000億円の事業目標については、「2桁成長すれば、3年で達成できる」と自信を見せた。

  • 生体認証+映像分析による市場の拡大

NEC フェロー 今岡仁氏

フェローの 今岡氏は、生体認証分野でのNECの強みについて、複数の技術を組み合わせるマルチモーダルや精度の高さを挙げた。