Dropbox Japanは6月20日、都内でGoogleドキュメントやSlackなどと連携したデスクトップアプリについて記者説明会を開いた。これにより、各種ファイルや分散するツール、チームが1つのワークスペース上に統合されるという。
同アプリは、6月12日に初期アクセスプログラムを通じて提供を開始しており、同プログラムの参加条件に同意すれば、すべてのDropboxユーザーが試用できる。
米Dropbox 最高技術責任者(CTO)のクエンティン・クラーク氏は、ナレッジワーカーが抱える課題として「多くのテクノロジーが断片化し、さまざまなツールが散らばり、チームの連携が困難になっている」との認識を示す。
新たなデスクトップアプリは、Googleドキュメント/スプレッドシート/スライドなどのG SuiteのファイルをDropboxで作成し、アクセスや共有ができ、Microsoft OfficeファイルをOffice OnlineやGoogleドキュメントで開くことも可能としている。
オーストラリアのAtlassianが提供するTrello ボードをはじめとした生産性向上ツールや、Wikiページ、ニュース記事などへのリンクなどのショートカットを作成し、従来のコンテンツとともにDropboxに保存することもできる。同社とは戦略的パートナーシップを締結し、両社のプラットフォームは今後数カ月で統合され、共同作業におけるプロジェクトの整理、調整、実行が容易になるとしている。
WindowsのシステムトレイとmacOSのメニューバーにあるDropboxアイコンをクリックした際に表示される内容も刷新し、共有コンテンツのアクティビティ把握や重要なファイルへの素早いアクセスが可能になると同時に、新規コンテンツをDropboxから直接作成できることに加え、チームアクティビティフィードを参照して、共有ファイルの更新状況を確認することも可能。
また、Dropbox上でSlackアプリを立ち上げずにSlackの会話を開始し、Slackのチャンネルにファイルへのリンクを直接送信できるほか、Slackの会話上でDropboxファイルを簡単に共有することも可能。
さらに、Dropbox からビデオ会議のZoom Meetingsに参加・開催でき、ZoomでそのままDropboxのファイルを画面共有することも可能なことに加え、Dropboxファイルの横に表示されるSlackとZoomの共有アクティビティを確認することができる。
一方、ファイルの固定やフォルダ説明の追加、To-doリストの作成、チームメイトに@メンション、最新のファイルアクティビティの把握、閲覧者情報の確認、共有コンテンツへのコメント機能をはじめとしたチーム連携機能を強化している。
加えて、組織において複雑化する環境とツールの増加に伴う課題に加え、リスクやコスト対応が迫られることから、効率化やデータ保護を担保するIT管理者のツールとしてマルチチーム管理機能を用意。これにより、Dropboxにおけるインスタンス管理やメンバー管理を容易とし、個人ユーザーでも適切なDropboxのインスタンスに参加することを可能としている。
また、インスンタンスの統合や職場のアカウントから個人アカウントへの変換・管理ができ、容量の制限をチーム、メンバーごとに定義できる。データ保護に関してはダウンロードの禁止ツール、リモートからのワイプなどが可能だという。
クラーク氏は「新しいDropboxはコンテンツを整理し、ツールをつなげ、チームをまとめることが可能だ。ファイルの共有からチームのワークスペースに進化している」と強調した。
1日あたりの作業時間のうち35%が本業以外
国内の概況に関しては、Dropbox Japan 代表取締役社長の五十嵐光喜氏が説明した。
まず、同氏は国内におけるHR総研の働き方改革実施状況の調査レポートを引き合いに出し、企業では長時間労働の是正(85%)や生産性の向上/業務の効率化(77%)を目的に、残業時間の削減(82%)と有給休暇の取得促進(61%)を具体的な取り組みとして挙げた。
一方、同社が5月に2000人を対象に実施した調査結果では1日の業務時間のうち、本業以外(本業のための調整・作業・情報収集、Eメール、移動・事務作業など)の業務が35%(平均190.9分/日)に達しているという。
五十嵐氏は「既存情報を探す時間、調整時間、メールの受領確認の時間、ツールをまたいで作業を行うなど、いわゆる情報共有にかかわる作業時間に1日あたり157.9分を費やしている。新しいデスクトップアプリは本業ではない時間削減を大きく推進できるだろう」と期待を口にしていた。