日本マイクロソフトは6月19日、マイクロソフトとIDC Asia/Pacificが行った「アジア太平洋地域の消費者のデジタルサービスに対する「信頼」についての理解の調査(Understanding Consumer Trust in Digital Services in Asia Pacific)の結果を公表した。
この調査は、アジア太平洋地域(オーストラリア、中国、香港、インドネシア、インド、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム)の男女6,372名の消費者に対して実施し、このうち日本では計452名の消費者が調査対象となった。調査対象の消費者は、日々の生活でデジタルサービスを積極的に活用し、過去90日間に銀行、買い物、ソーシャルメディアへの参加などのオンラインアクティビティを行ったことが条件となる。
今回、このような調査を行った背景について、マイクロソフトアジアで、政策渉外・法務部門を統括しているアソシエイトゼネラルカウンシルのAntony Cook(アントニー クック氏は、「テクノロジーによって仕事のやり方、生活の仕方、人とのつながり方、変革のやり方が大きく変わってきている。アジアはテクノロジーの普及の中心で、世界の若者(15-24歳)の60%(7億5000万人以上)がアジア太平洋地域の居住し、いつでも、どこでもテクノロジーを活用している。また、27億人の携帯所有者がアジア太平洋地域にいる。さらに、グローバルのEコマース市場の47.2%をアジア太平洋地域で占めている。一方で消費者はデジタルサービスを使うことに対するリスクと課題についても理解している。たとえば、SNSの活用が急速拡大し、商品の不具合の情報はすぐに広がってしまう。そこで、IDCと共同で、消費者がデジタルサービスを信頼しているのかどうか、何が消費者をドライブしているのか、商品に対する不具合がビジネスにどう影響するのかを調査した」と説明した。
調査では、「プライバシー」、「セキュリティ」、「堅牢性」、「倫理」、「コンプライアンス」という消費者の「信頼」に関する5つの要素について調査したという。
まず、もっとも頻繁に利用しているデジタルサービス(過去3カ月に利用した回数)では、アジア太平洋地域では、銀行取引、ネット購入、ソーシャルメディアの順だが、日本ではソーシャルメディアが断トツで高く、ネット購入、ネット支払と続く。アジア太平洋地域でトップの銀行取引は、日本では3カ月で1.9回と低い。
「信頼」に関する5つの要素で重視する要素については、アジア太平洋地域、日本のいずれも「セキュリティ」「プライバシー」「堅牢性」の順番。
信頼の期待値が高いサービスとしては、アジア太平洋地域、日本のいずれも金融サービス、ヘルスケアが高く、3位はアジア太平洋地域が教育なのに対し、日本は小売となっている。
また、過去の信頼が失われた体験の中で、サービスを利用中止した要因となったものは5つの信頼の要素のうちのどれかという質問に対しては、日本はセキュリティ、プライバシー、堅牢性の順で、アジア太平洋地域全体に比べ、プライバシーを重視する傾向が強い。
これらの調査結果を踏まえ、日本マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者 榊原彰氏は「企業は信頼とは何かを突き詰めて、それをベースラインにすべきだ。セキュリティとプライバシーが信頼構築のためのもっとも重要な2つの要素だ。ただ、1社だけでは信頼を構築できないので、標準化などを行いながら、サプライチェーン全体で信頼を構築していく必要がある」とした。
また、IDC Japanでソフトウェア&セキュリティのリサーチマネージャーを務める登坂恒夫氏は、「信頼できるデジタルプラットフォームを有する企業と取引したいと考える消費者が増える中、企業がデジタルの世界で成功するためにはセキュリティとプライバシー、そして堅牢性を重視した信頼性の高いプラットフォームの提供が必要。デジタルサービス間の競合がより激しく、グローバル化が進むにつれ、信頼性の高いプラットフォームを提供することが口コミによる高評価につながり、それが企業にとっての強力な差別化要素になり、ブランド価値を高める」とした