パナソニック、三菱地所レジデンス、寺田倉庫の3社は6月19日、パナソニックが保有する東京・天王洲の2013年に遊休化した「旧 パナソニック東品川ビル2号館」を3社共創によって、パナソニックの有する先進技術を活用する形で天王洲運河エリアの活性化を目的としたコワーキングスペースや次世代オフィスラボ、リハーサルスタジオなどを備えた複合施設「TENNOZ Rim」としてリノベーションを行ったことを発表した。

  • TENNOZ Rim
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  • TENNOZ Rimの外観

TENNOZ Rimは、三菱地所レジデンスが運営する「コワーキングスペース」、パナソニック運営の「次世代オフィスラボ」。寺田倉庫運営の「リハーサルスタジオ」で構成されており、コワーキングスペースにはパナソニックの最新照明技術やナノイー発生装置内蔵空調、バイオリフィックデザイン「COMORE BIZ」などが設置されているほか、次世代オフィスラボでは、コワーキングスペースの運営から得られたセンサ情報の蓄積と分析を行い、そこから得た知見などを活用した次世代オフィスソリューションの開発を行っていく計画としている。

TENNOZ Rimの延べ床面積は1343.71m2で、そのうちコワーキングスペースが469m2(93席)、都内最大級と寺田倉庫が語るリハーサルスタジオが474m2、そしてコワーキングスペースで得られた各種のデータの分析などを新たなソリューションへと展開していくことを目的とした次世代オフィスラボが46m2となっているほか、入り口を入ってすぐの交流ラウンジ「CIRC LOUNGE(サークラウンジ)」が89m2、サークラウンジ奥に設置される予定のマルチ・コミュニティ・スペース「KIT+EN(キテン)」が224m2となっている。

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    リハーサルスタジオ。天井高は3.5m。防音性能としては、80dBまでの騒音を吸収できるレベルとのこと。すでに2019年9月より稽古場として利用する契約が締結済みのほか、2020年についても2件の案件が進んでおり、年間を通して90%程度の稼働率を目指すとしている

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    CIRC LOUNGE。パナソニックの工場から排出されたモノを使ったアップサイクルプロダクトなどが展示されている。画像から見分けやすいのは左側にある太陽光発電パネルを用いたテーブルだろう

  • TENNOZ Rim
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  • テーブルはパナソニック製システムキッチンの製造時に切り出されたシンク部分を加工したもの。そのテーブルの上に置かれているのはブックスタンドへと姿を変えたアイロン

コワーキングスペースは共有スペースであるTSUTAYAが監修に携わり、「旅」「命」「自然」「考える」の4つのテーマから選び抜いた700冊の本が収められているブックパークを挟んで「MAIN CABIN」と「CANAL CABIN」という2つのスペースを用意。席によって利用金額が異なるが、利用者が快適に仕事をできる環境の構築にこだわった作りを取り入れている。

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  • コワーキングスペースのMAIN CABIN側の様子。ボックス席やカウンター席なども用意されているほか、お気に入りの植物を自分の席に持っていって飾るシェアグリーンや、9月発売予定の心理的なパーソナル空間作成ウェアラブルデバイス「WEAR SPACE」の先行貸し出しなども行われる

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  • 「MAIN CABIN」と「CANAL CABIN」の間に設置されたブックパーク。アップサイクルプロダクトとしてのアイロンを利用したブックスタンドなどもあるほか、奥には1人あたり20分の利用でリフレッシュを実感できる照明の揺らぎ制御技術や漸増光制御技術などを活用した「仮眠・お目覚めルーム」も設置されている

  • TENNOZ Rim
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  • コワーキングスペースのCANAL CABINの様子。テーブルの上に緑が生い茂って、しかも水まで流れている。さらにテクニクスのスピーカーからは、空間音響設計が施された鳥のさえずりや虫の鳴き声などが、時間帯に応じて流され、自然の中で仕事をしているかのような錯覚を与えてくれる

また、コワーキングスペースの天井には54台の屋内位置情報システム(LPS)や、3D空間の温度分布や人物の位置情報の測定を可能とする「Grid-EYE」といった各種オフィス空間の情報をデジタルデータとして取得するための機器が設置されており、次世代オフィスラボでは、これらのデータをもとにパナソニック社員が利用者の快適さを維持しつつ、より高度な制御を実現するソリューションの開発などにダイレクトにつなげていく試みが進められていく予定だという。

  • TENNOZ Rim
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  • 丸い円筒形のものが屋内位置情報システム(LPS)、四角のものがGrid-EYE。モニタに映し出されているのは、ビーコンを持った人間がどこに居るかの位置情報を可視化したもの

さらに9月をめどにTENNOZ Rim内のどこに設置するかはまだ決まっていないものの、3D全身リアルアバターを0.01秒の撮影で実現できる3Dフォトスキャナも設置される予定。これにより、生成された3Dアバターを活用した動画制作や、MRのエンターテイメント活用なども模索していくとしている。

  • TENNOZ Rim

    3Dフォトスキャナで制作した3Dアバターをモーションセンシングを使って動かすというデモ。アバターはパナソニック映像の宮城邦彦 社長。実際の装置は9月に設置される予定とのこと

なお、3社は利用者としてITやデザイン系のスタートアップなどのほか、近隣の住民なども想定しており、そうした地域ぐるみで、気軽に立ち寄ることができるような地域活性化のモデルケースとしていくことで、建物の老朽化や空きビル問題といった社会課題に対する新たな答えにつなげていければ、ともしている。

  • TENNOZ Rim

    ポーランド出身のアーティスト、スタフ・シュムスキ氏の手による壁画アート。甲骨文字をモチーフに、コミュニケーションの基本を表現したほか、TENNOZ Rimという存在は3社のみならず、天王洲という町に住む人々とともに運営されていく、というイメージが込められているという