Visa Inc.は6月19日、AI(人工知能)を活用するVisa Advanced Authorization(以下 VAA)による金融機関の詐欺被害の抑止効果が、年間で推定250億ドル以上に達し、より安全なグローバル決済エコシステムの実現を可能にしているという解析結果を発表した。

VAAは、Visaのグローバル決済ネットワークVisaNetにおける取引承認を、リアルタイムに監視、評価するリスク管理ツール。金融機関は新種の不正パターンや傾向を迅速に特定し、対策を行うことができる。

同社によると、昨年VisaNetで処理された加盟店と金融機関の間の取引件数は1270億件に達し、金融機関が不正な取引を迅速に特定、防止しながら、正当な利用を承認できるように、AIによって全取引を解析した。

その結果、金融機関の詐欺被害の抑止効果が年間で推定250億ドル以上に達し、より安全なグローバル決済エコシステムの実現を可能にしていることが判明したという。

VAAは、機械学習モデルによって行動やパターン、リスク属性などの不正利用の指標を各取引につき約1ミリ秒で評価。リスクスコアをカード発行会社と共有することで、取引の承認、拒否を判断することに加え、カード会員への対応のため取引にフラグを立てることができるという。

また、新規の顧客や利用頻度の低い顧客であっても正当な取引であることを特定し、取引が誤って拒否されてしまう可能性を低減させる。さらに、不正を検知、防止するための統合されたグローバル予測解析によって、リアルタイムの承認を実現するということだ。