キーサイト・テクノロジーは、同社のハイエンド・ベクトル・ネットワークアナライザ(VNA)「PNA-X」を用いて、5G向け高周波パワーアンプの開発を行うエンジニアに向けたオプションとして、変調歪みアプリケーション「S93070xB」を発表した。

  • S93070xB

    変調歪みアプリケーション「S93070xB」の活用イメージ (提供:キーサイト)

近年、デバイスメーカーの多くが、最終製品にデバイスを組み込んだ際の影響データを最終製品を評価するパラメータを元にした状態で欲しい、と顧客から要求されることが増えてきた。また、パワーアンプ開発メーカーも、従来の評価項目になかった信号品質の尺度であるEVM(Error Vector Magnitude)や対象チャネル帯域の隣に位置するチャネル帯域に放射される/漏れ出す電力であるACLR(Adjacent Channel Leakage Ratio:隣接チャネル漏洩電力比)などの測定項目への対応が求められることとなっており、歪みの抑制が求められるようになっている。

こうした測定は、従来は信号源やアナライザを組み合わせて実現してきたが、誤差要因が多岐にわたるなどの課題があり、測定の確度や再現性の低下などの問題を抱えていた。同アプリは、デザイン時に変調広帯域信号が印加されたデバイスの動作を高い再現性で正確かつ迅速に特性評価することを可能とするもので、ネットワークアナライザに対する1回の接続とシングルタッチでの測定、および低い残留EVMの実現を可能としている。

そのため同社では、測定系としてネットワークアナライザに接続するだけで完結できるシンプル構成ながら、5G信号を投入して実際のパワーアンプの変調信号品質測定が可能となるほか、ネットワークアナライザ上でSパラメータやゲインコンプレッションなどの従来指標とEVMやACLRなどを組み合わせてみることも可能となることから、それらの指標の相関関係を把握することが容易となるため、開発の効率化を図ることも可能になると説明している。

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  • 従来測定手法と、今回のアプリを用いた測定手法の違い (提供:キーサイト)