NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は6月14日、「Interop Tokyo 2019」のShowNetにおいて高速ソフトウェアPCルータ「Kamuee(カムイー)」上にSRv6(IPv6を用いてセグメントルーティングを実現した技術)を実装し、会場内のネットワークにおけるサービスチェイニング(ユーザーの要求に合わせて、ルータやファイアウォール、ロードバランサなどの必要な機能を適切な順番で通過させるネットワーク技術)の実証実験に成功したと発表した。

大容量通信を支える通信機器は、パケット処理時に行う経路検索や高速にパケット転送する機能をハードウェアで設計・実装した専用機器の導入が必要となり、その導入には数千万円規模の費用と長期にわたる構築期間を要することに加え、構成や設定の変更における柔軟性に欠けるという課題があったという。

同社は、これらの課題を解決するため、パソコンなどでも利用される一般的なCPUを利用したKamueeの開発を進めている。今回、ソフトウェアベースで迅速かつ柔軟に機能拡張が可能であるKamueeに、最先端の技術であるSRv6を追加実装し、サービスチェイニングの実現に取り組んだ。

6月12日~14日に期間で開催しているInterop Tokyo 2019のShowNetにおいて、アプリケーションプロキシー(SRv6パケットを解釈しないサービスノードに対し、SRv6パケットを通常のパケットに変換する、もしくはその逆を行う機能)としてKamueeを導入し、SRv6での会場内トラフィックのサービスチェイニングを実現することで、自由な経路指定を可能にする基盤を支えたとしている。

  • 実証実験の概要

    実証実験の概要

これにより、従来SRv6をサポートしていないファイアウォール、UTMなどのネットワーク機能に対してもサービスチェイニングの提供が可能になり、ネットワーク上に存在するさまざまな機能を物理構成を変更することなく、ソフトウェアで柔軟かつ迅速に設定することができるという。

今回、KamueeがSRv6の導入に成功したことにより、サービスチェイニングによる柔軟なネットワークの実現にKamueeが貢献できることが実証され、コアルータとしてだけでなく、セグメントルーティング用のルータとしても導入されることで、一層の自動化・効率化に貢献することが期待されるとしている。

今後もKamueeの機能追加を行いつつ、多様な用途での実証実験を継続し、自社網への導入に加え、通信事業者・通信機器メーカーなどとのサービス開発や顧客へのソリューション提供をはじめ、さまざまな場面での活用も検討していくという。