新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、昭和電線ケーブルシステム、BASFジャパンの3者は6月12日、BASFジャパン戸塚工場敷地内において、低コストな三相同軸超電導ケーブルを用いた実証試験を開始すると発表した。

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    三相同軸超伝導ケーブルシステムを用いた実証実験の概要

同試験は、プラント内の既存の窒素ガスや液体窒素などを超伝導ケーブル内に流して冷却することで、超電導ケーブルの冷却に必要なエネルギーの削減の可能性を探ろうというもの。既設の設備を活用することから、新たな冷却用の設備を設置する必要もなく、従来よりも低コストで送電することが可能になると見られている。NEDOなどによると、この技術を30MW以上大規模電力を必要とするプラント内の送電ケーブルに適用すると、従来の銅やアルミでできた電力ケーブルと比較して、ケーブルの送電ロスを95%以上抑制することができるようになり、それに伴って電力料金も年間2000万円以上の削減が見込めるとしている。

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    プラント内で超伝導ケーブルを活用できるかどうかの模索を今回のプロジェクトでは進めることとなる。冷却には、プラントで活用される液体窒素やLNG、窒素ガスなどを用いることができるという

今回用いられる三相同軸超電導ケーブルは、昭和電線ケーブルシステムが超電導部はイットリウム系超伝導線材を用いて開発したもので、交流大電力を送るために必要な三相(U/V/W相)が1つの軸上に積層され、その外側に液体窒素などの冷却材を通す部分を用意することで、効率よく冷却しつつコンパクトなケーブル構造を実現した。

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  • 開発された三相同軸超電導ケーブル。1軸に三相が形成され、その周りが液体窒素などの冷却材を流す空間。さらにその外側は真空断熱層となっており、外の熱との接触を防ぐ仕組みとなっている

実証試験では、構内の高圧配電盤から研究開発試験建屋の横に設置された受電所まで約250mの距離を既存の6.6kV架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVケーブル)から三相同軸超伝導ケーブルに置き換える形で、その性能の実証が行われる。実際の敷設工事は2019年中に行われ、2020年2月より実証試験の運転を開始する予定。そのため、プロジェクト期間は2019年7月~2021年2月となっており、実際の稼動でデータを得られる期間は1年ほどとなる。

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  • プラントでの超伝導ケーブルの活用イメージと、BASF戸塚工場での実証試験の概要

なお、昭和電線ケーブルシステムは、初期投資が10年以内に回収できることを目標にシステムの開発を進めてきたとしており、今回の実証試験の成果を踏まえ、2~3年後に商用化したいとしている。