コニカミノルタは6月11日、デジタルマニュファクチャリング構想に基づく生産現場のワークフローの変革により、「人・場所・国・変動に依存しないモノづくり」を目指す、グローバル展開の一環としてマレーシア自社工場での実践を経て、取引先とともに生産活動におけるオープンイノベーションに取り組むSmart Industrial Centre(SIC)に参画すると発表した。
これにより、従来のバリューチェーンの枠組みを超えて競争力のある生産体制を整備し、将来的には日本・中国などにおいても同様の展開を視野に入れ、デジタルマニュファクチャリングの新たなステージに移行していく方針だ。
これまで同社では、人に依存した技能・ノウハウの承継、特定地域・拠点への依存、あるいはさまざまな変動への対応力に少なからず課題があり、同社が掲げるデジタルマニュファクチャリングは、従来から培ってきた現場力をベースに、近年進展が著しいIoT技術を融合させることで、これらの課題を解決し、競争力のあるモノづくりへの変革を狙っている。
自動化による省人化や品質向上に加え、生産現場から得られるデータの生成・集約・分析・活用、IoT化を進める中で工程・拠点・企業にまたがるデータをつなげることで、新たな付加価値の創出に取り組んでいる。
これにより、標準化・数値化による属人性から極力脱却した生産、消費に合わせたグローバルな生産、変動を吸収しロスを最小限にする生産を実現するという。
マレーシア政府は、製造業および関連サービスにおけるデジタル化「インダストリー4.0」を導入し、産業の高度化を図ることにで、生産性向上や高度人材の育成および雇用創出を目指す国家政策(Industry4WRD)を積極的に推進している。
同社は2015年からマレーシア工場(Konica Minolta Business Technologies Malaysiaにおいてデジタルマニュファクチャリングの自社実践を開始し、自動化とICTの特徴を活かしつつ、データのつながる対象を広げ、データの収集・分析・活用から生産現場における品質・効率の改善までを継続的に進めている。
SICでは、マレーシアでの新たな製造業地域連携として、さまざまな産業分野に属する企業が連動し、新しいタイプの製造クラスター(バーチャル・ワン・カンパニー)を形成しており、複数の分野の企業が集合することで単一企業では困難なモノづくりを実現し、業界の枠を超えた新たな価値を創出していくことを掲げている。
同社は、すでに生産革新活動の一環として現地の取引先の現場に密着し、現場レベルでのさまざまな改善活動を進めていることに加え、デジタルマニュファクチャリングの革新的な技術を水平展開することにより、SICに参加する企業へのサポートを深めるという。
これにより、オープンイノベーションによるマレーシアでの新たな製造モデルを確立し、世界でのマレーシアの製造業全体のポジショニング強化に貢献するほか、将来は日本や中国への展開を視野に入れたグローバルでのデジタルマニュファクチャリング構想に取り組む考えだ。