市場調査会社である台TrendForceは、2019年第3四半期(7~9月)のDRAM価格について、これまでの前四半期比10%減との予測から6月6日付けで、同10~15%減へと下方修正したことを明らかにした。また、併せて同第4四半期についても従来の2~5%減から10%減へと下方修正を行った。
背景には、米中貿易戦争の拡大により米国政府によるHuaweiへの事実上の輸出禁止措置の波紋が広がり続けていることが挙げられる。この措置の結果、Huaweiのスマートフォンおよびサーバ製品の出荷は今後2〜3四半期にわたって深刻な障害に直面することが懸念されるとTrendForceではみており、その結果、DRAM需要のピークシーズンとなる年後半の需要と価格に大きな影響を与えることになるとしている。
TrendForceでは、DRAMの競争が3社の巨大企業(Samsung、SK Hynix、Micron Technology)のみで寡占的に行われていること、ならびにDRAMの製造プロセスが物理的な限界に近づいていることを前提として、価格がサプライヤのトータルコストを下回る可能性は低いと当初は予測していた。しかし、米中貿易戦争の激化により、今年後半の需要が急速に落ち込む可能性が出てきており、先行きの不安感から各データセンターも設備投資の抑制を余儀なくされている状態にあるとしており、DRAMサプライヤは年末までに在庫を捌ききれずに、決算を最終的に赤字として報告する必要がでてくる懸念があるとしている。
なお、TrendForceの予測によると、DRAM価格は2019年中は下落が続くものの、価格の底打ち、供給ビットの伸びの限界などの要因により、2020年には回復する見込みであるとしている。