化石でしかその存在が知られず、絶滅したとされていた甲殻類のオオスナモグリが生きていた、と千葉県立中央博物館(千葉市中央区)が5日明らかにした。同博物館の研究者らが静岡、高知両県の干潟でこの甲殻類とみられる生物を発見、長時間かけて分析して結論づけたという。同博物館は6日から30日まで標本を公開している。
千葉県立中央博物館によると、オオスナモグリは固いはさみを持つ甲殻類で、現在国内に生息しているニホンスナモグリよりもハサミが大きい。関東地方から沖縄本島の、地質時代区分で中期更新世~完新世の地層で化石が見つかっているが、絶滅種と考えられていた。
こうした中で同博物館動物学研究科長の駒井智幸さんのほか、高知大学教育学部、京都大学フィールド科学教育センターの研究者らによる研究グループは日本各地の干拓や砂浜で調査を実施。高知県土佐市や静岡県沼津市で、オオスナモグリと似た甲殻類を発見した。
研究グループの駒井さんらは、発見した生物は当初オオスナモグリではない新種のスナモグリとみていたが、この生物をオオスナモグリの化石と詳細に比較し、DNA配列なども調べた結果、オオスナモグリであると結論づけたという。
駒井さんらによると、オオスナモグリの生息域は採集が難しい場所であるために発見できなかったが、絶滅したと考えられていた生物が現存していることが分かった意義は大きいという。
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