業務改善の手段として注目されているのが「RPA」だ。業務の一部をロボットに任せることによって人の負担を軽減することが可能になることから、期待を持って導入検討を行っている企業は少なくない。
「最近では期待が高まりすぎ、自社業務の改善ポイントはどこなのか、何に役立つのかという分析からRPAを選択するのではなく、まずRPAを導入すると決めてから動き出している例も目立ちます。それでいて、RPA自体への知識は少なく、RPAを導入すると決めたものの実際にどういうものなのか、自社ではどう使えるのかというような相談を受けることが増えました」と語るのは、テンダ 取締役 CPO 最高製品責任者の大久保卓氏だ。
テンダはRPA業務自動分析・導入ソリューションプラットフォーム「D-Analyzer」を提供している。2018年10月に販売を開始して以来、展示会等でアピールする中、RPAへの期待を高め、導入に向けて動き出してすぐに壁を感じている人々に出会うようになったという。
「世間で流行しているからと注目し、上層部から導入を指示されて動き出したものの、どの業務をRPA化していいのかわからないという状態です。一般的には外部のコンサルタントに頼るわけですが、これにはかなりコストと時間がかかります」と大久保氏。
さらに現場でユーザーと関わることの多いテンダ ビジネスプロダクト事業部 ビジネスプロダクト営業部 営業1課の笹沼玲菜氏も、「RPAとは何かがわからないまま、具体的に導入ツールまで決定されていることもあります。効率化、生産性向上のためにRPAをと上層部から言われていることが多いですが、その状態で導入を決定してしまっているのかと驚くことが多いです」と目的と手段が入れ替わった状態で混乱している現場の様子を語った。
時間&コスト負担大でも成果が出づらいヒアリング
RPAは、漠然と導入して効果が出るようなものではない。具体的にロボット化したい業務が定まっていないならば、まず全社的に業務を洗い直し、ロボットに任せるべきものを選定する必要がある。その上で、具体的な手順等を確認し、それを整えてからロボットを作成しなければならない。それには、業務に精通している必要があるが、外部コンサルタントを利用した場合、すべては現場へのヒアリングからスタートすることになる。
「ヒアリングには時間がかかりますし、出てきた意見が有用ではない場合もあります。ロボットに向いている業務だと聞いていたものが、実は面倒なだけで効率化には繋がらないものだったというケースもあります。自分の仕事がなくなることが不安でRPAに向いていないと言ったり、導入したくて大変さをアピールしたりすることもあります」(大久保氏)
企業自身がRPA化に向いていると考えた業務が間違っていることがあるのはもちろん、コンサルタントに頼めば万全というわけでもない。業務の専門家ではないコンサルタントはヒアリングで出てきた意見を深掘りできず、現場の間違った意見に惑わされる可能性もある。
「業務には詳しいがRPAのことはわからない現場の方と、RPAについてはしっかり勉強しているけれど業務に詳しくない人のヒアリングというのは食い違いがちです。現場の人が日々こなしている業務は、本人はそれほど負担に感じていないこともあります。ヒアリングは聞く人も聞かれる人も時間を割かなければならないのに、効果が出づらいのです」とテンダ ビジネスプロダクト事業部 プロデューサーの谷内卓也氏も語った。